南アジア地域の女性のおかれた状況を語る

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2015.3.18

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アンジャリ・セン国際家族計画連盟(IPPF)南アジア地域事務局長初来日

2009年3月からIPPF南アジア地域事務局長として、同地域の9カ国(アフガニスタン、バングラデシュ、インド、イラン、モルディブ、ネパール、パキスタン、ブータン)を支援している、アンジャリ・セン(Anjali Sen)地域事務局長が初来日しました。アンジャリさんは、30余年にわたり、インドの政府機関、関連NGOでの豊富な業務経歴を持ち、自国インドのみならず、南アジア地域のリプロダクティブヘルス・ライツ(RH/R)およびジェンダーに関する戦略づくり、プログラムの形成、モニタリング評価、財務・監査など全般にわたり、その推進に多大な貢献している専門家です。

2015年3月12日に、南アジア地域の女性のおかれた現状に精通し、多岐にわたる課題を抱えた同地域のRH/Rおよびジェンダーの分野を牽引しているアンジャリさんに報告していただきました。

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同地域は、サハラ以南のアフリカ諸国と比較しても、劣悪な状況である国々が多く、都市と農村の格差が著しく、文化的・社会的・宗教的などあらゆる観点からリプロダクティブ・ヘルス/ライツの推進には課題を抱えています。

アフガニスタンでは、妊産婦死亡率が出生10万対400と高く、その一方で、避妊実行率は23%と低く、望まない妊娠が多く発生していることが推測されます。南アジア地域全体で、1日1.25ドル以下で暮らす貧困層が人口の36%、児童婚も女性の56%、ジェンダーにもとづく暴力(女性への暴力)が全女性の40%~62%と高く、RH/R課題が山積していることがこれらの数字でも容易に分かります。

アンジャリさんは、子宮頸ガンによる死亡率が世界で南アジアが一番高く、予防も治療も全く遅れていることを指摘しつつ、中でもインドは世界のワースト1位で、2012年だけで7万2825人の女性が、この原因で命を落としていると報告しました。

アンジャリさんは、RH/Rの課題解決のためには、若者への投資が必要で、とりわけ若い女性への情報提供やRHケアサービスのさらなる充実が求められると強調。包括的なRH/Rへの普遍的なアクセスをさらに強化するため、具体的には妊産婦保健サービスの質の向上、若者へのアプローチの強化、また、女性のエンパワーメントの推進と女性への暴力の撲滅などの地道な活動が必要で、そのためにも、日本からのさらなる支援・協力が求められていると熱く語りました。

(報告:鈴木良一)