
スニール・コタールさん
若年妊娠
彼女はバグヤシュリ・スニール・コタールさん、現在16歳。インド、ムンバイから車で2時間程行ったところにある、カンドペという村の郊外に住んでいます。彼女は13歳で学校を辞めて、14歳で両親が決めた相手と結婚し、15歳で長女を産みました。
子どもは病院などの施設で産もうと思っていましたが、出産当日に交通機関のストライキのためバスが使えず、またタクシーの運賃を支払うお金もないために、伝統的助産師による出産介助で自宅分娩となりました。
生まれたのは女の子でした。
男児が求められるインド社会で、もう一人子どもが欲しい、次は男の子を産みたいと言います。
「学校を辞めてしまったけど、洋裁を習いたい」、と話してくれました。
世界人口70億人:人口大国インドで男児選好がもたらすもの
世界人口が70億人に達し、今世紀中に100億人に達すると言われています。現在世界1位の人口大国中国と世界第2位のインド。BRICsとして経済力にも世界の注目が集まる中、2021年にはインドの人口は中国を追い抜くとされています。そのインドで男女比に異変が起きています。
2011年の全国人口センサスで、全人口では男性1000人に対し女性940人、0歳から6歳の男児1000人に対しては、女児が914人しかいないという調査結果が発表されました。この数値は2001年では全人口で男性1000対女性933、0歳から6歳では男児1000対女児927で、その差がさらに広がっていることがわかりました。 この背景には、インドで根強く残る男児選好の考え方があります。
インドでは息子は価値のある資産としてみなされ、娘は負債だと考えられます。 その背景には結婚時に新婦側が新郎側の実家に支払われる持参金である「ダウリー」があります。ダウリーは1961年に法律で禁止されましたが、今でも根強く残り、その額はインドの経済が発展するにつれ高額になっています。息子は家名を継いでくれる、家に残ってくれる、娘は結婚したら相手の家族のものになり、自分の所には残らず、ダウリーがかかるだけと考えられています。
このためインドでは、妊娠した女性が、現在では非合法とされている性選別をして人工妊娠中絶をし、1994年から2010年までに約1000万人の女児の胎児がインドで中絶されたと言われています。女性が少なくなることで、レイプや誘拐が増加し、女児の人身売買が起きています。
人口大国インドがこの問題にどのように向き合うのか、産む女性がインドで抱える課題は多く残されています。


