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04 (社)日本助産師会会長 岡本喜代子氏

2011年6月より、(社)日本助産師会の会長に就任された岡本喜代子さん。6月19~23日に南アフリカ共和国のダーバンで開催された第29回国際助産師連盟会議に参加してきた印象を、帰国後にお聞きしました。

― 今回の会議でディスカッションされた内容について教えてください

3年に1度開催される国際助産師連盟会議(ICM)は、今年で29回目を迎えました。初のアフリカ開催ということで、アフリカの助産師の〝情熱″と各国の助産師のバイタリティーを強く感じた大変刺激的な会議でした。会議が始まる前日には、ダーバン市内を1000人以上の助産師たちが2時間半かけて行進しました。日本の私たちも「すべての妊産婦に助産師のケアを」と大きく書いた垂れ幕を持ち、おそろいの赤いTシャツを着て参加しました。

5日間の会議は南アフリカでの開催にちなみ、母子保健分野で起きている現状の課題を「人間が捕え難く、人間に危害を与える可能性がある大型動物たち」にたとえて「Big5」と称し、どのセッションでも取り上げられて、それに対する対策をディスカッションしました。

Big5

  1. グローバリゼーション
  2. 女性とパートナーの双方に耳を傾けること
  3. 活動の継続
  4. 助産師と助産教育
  5. 文化、社会、伝統

これらのBig5に取り組むためには、助産師の自立、助産師の教育強化、助産師の規制免許の徹底、研究、助産サービスの強化が急務であると提案されました。

(参照)国連人口基金がこの会議で発表した報告レポート
「The State of World’s Midwifery 2011: Delivering Health, Saving Lives」
http://www.unfpa.org/sowmy/report/home.html

―会議場で日本の助産師は?

会議場ではたくさんの各国の参加者より東日本大震災のお見舞いメッセージをいただきました。なかでも、ニュージーランドの助産師会は地震で事務所が崩壊しているにもかかわらず、「日本を応援したいから、私たちができることを言ってね」という、ギリーランドさん(本大会前までICMアジア太平洋地区理事)の言葉には目頭が熱くなりました。
大きな広い会議場で、いくつもの会議室に分かれ分科会が開催されました。各参加国によるさまざまなポスタープレゼンやワークショップの機会が与えられ、日本も、18枚のポスターを展示し、11の報告プレゼンテーションを行いました。湘南鎌倉病院の院内助産院に勤務する助産師大田さんは「院内助産の成果」について発表し、また、私は東日本大震災を経験した日本助産師会として、「災害時の対応について」の提案を参加者たちと話しました。今後の地球規模で起こる自然災害に備え、国際助産師会が窓口となり銀行口座を持てれば、被災妊産婦や母子に対する助産師によるサポートがもっと早く届くのではと考えています。

―会議を終えて、いま、日本の助産師に必要だと感じることは?

「アイデンティティと自立」だと思います。日本の助産師は、学ぶ期間が長くても実践の場が短いまま助産師になります。実践力が弱いことが自信のなさにもつながります。世界のスタンダードと比べてみても、日本の助産師が自信をなくしているのを感じます。私は、若い助産師たちがもっと実践の場を経験し、自信を持ってほしい。そして外に、世界の母子に目を向けて羽ばたいてほしいと感じています。
かたや途上国では助産師のケアを受けることができずに亡くなる女性たちも多い。そんな中、教育や研修を受けていない伝統的産婆に頼らざるを得ないわけです。世界の助産技術のレベルは異なりますが、命の尊さは変わりません。だからこそ、私は日本の助産師が一人でも多く途上国に向かう日が来れば良いと思います。日本では得難い現場での経験を積むことは、途上国の母子の命に貢献できるだけでなく、若い助産師が自分自身の能力、技術力を上げ、自立することにもつながる。これは双方にとって望ましいことではないでしょうか。
だからこそ、今、「世界に目を向ける助産師を育てること、若い人たちをサポートし続けること」。これが私たちの使命だと強く感じています。

―最後に、ジョイセフに期待することは?

実は、途上国と先進国の助産師会が「ツイン」で一緒にアクションを起こしていこうという取り組みがあり、日本はベトナムの助産師会と組むことを検討しています。2012年にはアジア・太平洋地区で国際助産師の中間報告会議が開催されますので、それまでにこの「ツインアクション」の成果を出したいですね。そのためにも途上国を拠点に活動しているジョイセフの経験を共有させてほしい。東日本大震災の被災地支援も現在一緒に活動していますが、日本助産師会ができることとジョイセフができること、お互いの強みを活かしあえたら強いですから。日本の妊産婦・母子のためにも、世界の妊産婦・母子のためにも、つながっていきましょう。

Profile


岡本喜代子 Kiyoko Okamoto
同志社大学神学部、大阪大学医学部附属助産婦学校、国立公衆衛生院専門課程修了(保健学修士)。勤務助産師を経て、2004年6月に「おたふく助産院」を共同開業。日本助産師会の役職を歴任し、2011年より現職。

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