地域保健の拠点として
国連の発表によると、アフガニスタンでは、妊娠や出産が原因で出生10万件に対し1400の女性が亡くなっており、世界で最も妊産婦死亡率が高い国となっています。
ジョイセフがプロジェクトを実施するアフガニスタン東部のナンガハール州でも、保健医療サービスの欠如、出産介助を行う助産師の不足、若年妊娠や多産などが原因となり、多くの妊産婦が妊娠や出産が原因で亡くなっています。
このような問題に取り組み、ナンガハール州における妊産婦保健の向上を図るために、ジョイセフは現地協力団体のアフガン医療連合と連携協力し、2002年に同州ベスード県に地域保健の拠点となるカレゼカビールクリニックを開設し、母子保健支援活動を行ってきました。
文化的な理由から、アフガニスタンの農村地域では、女性が男性医師の診察を受けることができません。そのため、クリニックでは男性の医療スタッフに加えて、女性の医師と看護師を配置し、村の女性たちへの診察と治療を行っています。
母子保健分野においては、妊産婦への産前産後健診、施設分娩や緊急産科ケアをはじめ、乳幼児健診や予防接種のサービスの提供、また家族計画や感染症予防についての保健指導や健康教育も行っています。
村の妊産婦や女性たちの家々を訪問し、出産間隔を空けることやクリニックでの産前健診と出産の大切さについて伝えるのは、ヘルスワーカーの女性です。ヘルスワーカーは、けがや下痢、結核患者の治療や家族計画に関するカウンセリングなども行います。


妊産婦と女性にとって、クリニックはなくてはならない存在となっています
男性と子どもたちへの働きかけ
妊産婦や女性の健康を守る上で重要な取り組みが、男性への働きかけです。母子保健推進員と呼ばれる男性たちが、地域の集会などの場を活用して、家族計画の大切さなど母子保健に関するメッセージを地域の男性に伝えます。
母子保健推進員として活躍するのは、地域で尊敬されている小学校の男性教師です。アフガニスタンの小学校では保健の授業がないため、子どもたちが保健や衛生の知識を十分に得ることができません。そのため、研修を通じ母子保健推進員として育成された男性教師は、授業の空き時間を使い、子どもたちに対しても保健と衛生に関する情報を伝えています。

校庭で衛生や病気の予防についてメッセージを伝える母子保健推進員
ジョイセフパートナーシッププログラム(JPP)で
カレゼカビールクリニックでの母子保健にかかわる保健医療サービスの提供とヘルスワーカーによる保健指導により、クリニックでの産前・産後健診、および分娩数は年々増加してきています。しかし、その一方でまだ多くの女性が、不衛生な環境の中、助産師さんの立ち会いもなく自宅で出産している現状があります。
2011年から始まるジョイセフパートナーシッププログラムでは、ヘルスワーカーを通じた妊産婦と女性への保健指導、そして母子保健推進員による男性への働きかけをさらに強化していきます。これらの取り組みを通じて、地域住民の間での保健や家族計画をはじめとする妊娠・出産に関する知識の普及と母子保健に対する意識の向上を目指していきます。
