現在、アジア、アフリカ、中南米地域において、各国レベルおよび各地域レベルで、「リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)」のための様々なプロジェクトを実施しています。ジョイセフでは地域や国の状況ごとに問題が異なることを考慮し、それぞれのニーズに合わせたきめ細かい活動を行っています。将来的に住民ひとりひとりが自分自身の力で健康で幸せな生活が送れるために、人々の視点に立った、地域に根ざしたプロジェクトを実施しています(CoRH)。これを実現していくための新しい広報・教育戦略がアプロダクションやデジプランです。

※プロジェクト経験国(18カ国) :
タイ、韓国、マレーシア、インド、バングラデシュ、カンボジア、ブータン、フィリピン、コロンビア、ブラジル、バハマ、グアテマラ、メキシコ、トンガ、サモア、バヌアツ、エチオピア、ガンビア
1.人口問題
今日、世界は多くの課題をかかえています。人口問題、気候変動・温暖化、食糧供給、貧困、資源、エネルギー、紛争などなど…。中でも人口問題は、ほとんどの問題の根源です。日本では少子化が問題となっていますが、世界人口は増加し続けています。途上国における人口増加がその理由です。途上国では、人口増加による貧困や食糧不足、劣悪な保健衛生環境などが原因で、毎日多くの赤ちゃんとお母さんが亡くなっています。貴重な命を救う人道支援を行うと同時に、命を生み出すための正しい保健知識や情報を普及させることは、先進国家や国連が率先して取り組まなければならない重要な課題です。
1994年、国際人口開発会議(ICPD/カイロ会議)の「行動計画」で、人口問題解決のための対策は、人口増加抑制政策という国家的プロジェクトから、一人ひとりの生活や福祉を大切にした人間中心の人間的な活動へと変更されました。
そのためには、女性の社会的地位、家庭内での地位を向上させ、男性の参加を得て、女性や妊産婦の健康と権利を守り、計画的に家族を作っていくという活動を推進していく必要があります。このような人間的家族計画を推進することが女性や子どもの幸せ、家族の健康や地域社会の発展につながってくと考えられています。
2.女性と妊産婦の置かれている状況
明治32年(1899年)当時、日本では妊娠や出産による死亡は1日17人を数えていました。まさにお産は命がけでした。医学や公衆衛生の発達などにより、2007年では年に35人にまで減少しています。それに対して、途上国では今なお、妊娠・出産が原因で毎日1500人のお母さんが命を落としています。1分に1人の割合です。
また、5歳の誕生日を待たずに命を落とす子どもは「世界子供白書 2009」によると年間920万人(最新の発表では880万人)、そのうちの約40%は生後28日以内に亡くなっています。1歳以上の子どもの死亡率は予防接種の普及などによって減ってきているにもかかわらず、生後28日未満の赤ちゃんの死亡率は減っていません。というのも生後間もない赤ちゃんは、お母さんがいないと、生きていくのがとても難しいからです。
お母さんの命を助けることによって、920万人のうち、およそ700万人の乳幼児の命が救えると考えられています。また、途上国では、出産時にかろうじて命を取り留めても、その後の合併症で苦しんでいる女性が年間約1000万人以上もいるのです。
1987年、世界のお母さんの命を救う、「安全な母性推進のための国際的イニシアティブ」のアピールが発表されました。しかし、20年間を経た現在でも妊産婦死亡率は減っていません。2007 年 10 月にロンドンで開催された国際会議「ウーマン・デリバー」においても、妊産婦死亡の削減及び妊産婦保健の向上が、国際的に最も取り組みが遅れていると指摘されています。
お母さんと赤ちゃんの命を救い、健康を守るためには、家族や地域社会の温かい支援の中で、衛生的に赤ちゃんを産み育てられるという環境整備が必要です。そのためには、地域社会の意識を変えていくという中長期的な取り組みが必要です。薬や注射器を送るといった短期的な取り組みでは成果が上がらないことを、世界の事例が示しています。

1年間で
| 望まない妊娠を避けられない女性 | 3億5000万人 |
| 望まない妊娠をする女性 | 8000万人 |
| 人工妊娠中絶をする女性 | 4500万人 |
(1)妊娠出産に関連する問題
- 地域社会の古い因習や伝統的価値観のために、妊娠しても十分な休養をとることができない。
- 妊婦は1日1食あるいは2食しか食事がとれず、母体と胎児に十分な栄養補給ができない。そして必要な薬を買うこともできない。
- 村の診療所は資金不足のために必要な薬が置いてない。たとえ薬があっても使用期限が過ぎていて使えない。
- 遠方のクリニックまで行くバス代が高くてお金が払えない。
- 女性が12~13歳頃から結婚する社会的慣習のある地域では、妊娠や出産をするには余りにも母体が未成熟であり、出産自体が母体や胎児にとって危険である。
- 衛生的な施設で出産をしようとしても、入院費用が高くて払えない。
- 自宅でお産をする時に、介助をする村のお産婆さんの知識と技術が不十分なため、安全で衛生的なお産ができず、母体や新生児の命が危険にさらされる。
(2)思春期の問題
日本では子どもの数が減っていますが、世界に目を向けてみると、世界人口の約半分が25歳未満で、10歳から19歳までの思春期の若者が20%を占めています。
思春期は性的にも活発になる時期で、開発途上国では、多くの女性が妊娠や出産を経験し始めます。この中には、無防備なセックスによる望まない妊娠や出産も多く、危険な方法で妊娠中絶し、命を落とす若い女性たちもたくさんいます。また、性感染症やHIVなどに感染してしまう若者も多く、近年、HIVの新規感染者の半数は25歳未満の若者だと言われています。しかし、次代を担う若者たちの健康を支援する政策やプログラムは、十分に整っていません。「まだ早い」と若者の性をタブー視し、青少年の性とリプロダクティブ・ヘルスに関連する情報やサービスへのアクセスが阻まれている状況の改善には、教育・保健・雇用・人権など多方面からの取り組みと若者の声が反映されるしくみが必要です。
(3)エイズ
アフリカではHIV/エイズが、国家の存亡に関わる深刻な問題です。
| エイズが個人に与える影響 | エイズが国家に与える影響 |
| 感染、発症すると死にいたる | 生産年齢人口の減少 |
| 発症者への差別や偏見 | 社会保障費の増大 |
| エイズ孤児の増加 | 貧困の増大 |

現在、抗HIV薬が途上国でも入手可能となってきていますが、薬を必要としている42%にしか行き渡っていません。すべての人々に治療をという願いを達成するためには、今以上の資金が必要になります。一方、このまま感染が拡大すると、開発途上国における抗HIV薬供給の持続も危ぶまれる状況になってしまいます。予防啓発活動の重要性が今再認識されています。感染症には国境がありませんので、日本にとっても他人事とは言えません。また、先進国の中で感染者が増加しているのは、日本だけという問題もかかえています。








