ブックタイトル開かれ活力ある日本を創る

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概要

開かれ活力ある日本を創る

な試みは、ODAを活用した、国際協力機構(JICA)のシニアボランティア派遣制度などでも実施されているが、今後は、民間企業の活動が期待される。人づくりは政府のみならず、民間の英知と共に発展させることが求められる。民間企業の退職者グループの雇用対策も兼ねて実施することにより、収益や人材の活用の成果を生むことができるのではないかと考えられる。また、日本で定年退職した者や途中退職者で有能な技術者が、個人ベースで新興途上国の民間企業に「引き抜かれる」ケースもあると言われるが、それは高い技術力や創造力をもった日本の貴重な人材が世界で嘱望されている証と言えよう。売れるものはものばかりではない。「技術を持つ人材を売る」時代のさきがけとなるかもしれない。新しい派遣制度を構築し、より多くの有能な退職後の人材を海外に派遣するためのシステム化を検討することを望みたい。それが、日本と途上国との人々の間の「懸け橋」となり、また退職高齢者個人にとってのやりがいにもつながることになる。◆健康長寿のまちづくりと健康から考える長寿日本は現在、世界の最長寿国の一つとなっている。単に平均寿命を延ばしているのみならず、「健康寿命」を延伸させていることは、世界に誇れるものである。日本の高齢者は、「自分の健康を自分で守る」という意識が高い。男女ともに長寿である長野県や静岡県では、生涯現役を目指す考え方が浸透しており、「健康寿命」を全うすることの県民イメージづくりが注目される。一朝一夕にできた結果ではないが、これらの県に多くのヒントがあると言える。予防医学的な考え方が浸透し、それがシステム化されていて、住民の健診受診率も高く、病気の早期発見・早期治療により、医療費の削減が実現された。運動や栄養管理なども各市町村によって奨励されていて、一人ひとりの高齢者の健康への自覚も高い。また、個人の尊厳を無視した過度の「延命治療」については、本人や家族が望む「平穏死」(自宅や自分の望む場所や状態で最期を迎える)の選択を是認する環境づくりが必要である。日頃元気なうちから本人の希望や意思について話し合っておくことが重要である。単なる延命でなく、「緩和医療」を施したり、平穏に死を迎えることは、人間の尊厳の観点からみて望ましいと思われる。この関連で過剰な医療サービスの線引きをするガイドラインの検討も必須となろう。過度の延命治療にかかる医療費は、患者本人の尊厳と誇りからしても、薦められることではない。16