ブックタイトル開かれ活力ある日本を創る

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概要

開かれ活力ある日本を創る

西欧諸国をみても、単に労働力として受け入れるだけにとどまらず、異なった文化や風習、宗教を持った外国人を受け入れるという複雑きわまる作業に従事することに他ならない。日本社会は、歴史的にみると移民の受け入れに決して積極的とは言えず、したがってこの人々をいかに受け入れるかについての多面的な議論と準備が必須となる。逆に言えば、受け入れた外国人が、日本の生活に馴染むためのプロセスやシステムづくりも適切にまた現実的に構築していかなければならないことになる。日本社会が本当に成熟しているかどうか、つまり隣に外国人が住む環境が身近にできることによる日本社会の国際化に、日本人自身がいかに追い付き、馴染むことができるかなどを含む多文化共生の議論や異文化学習も必要になってくる。また、外国人人口がある程度の規模になった瞬間にそれらの課題が表面化することも踏まえると、早期に地域行政当局や教育関係者も含む包括的な対策を立てていく必要がある。今後日本では、労働力不足の問題のみならず、高齢化社会がさらに進行して75歳以上の後期高齢者が増加することを踏まえると、介護要員あるいは福祉人材の不足も想定されている。現在外国人の福祉要員の受け入れには依然として厚い壁が存在していることが判明してきているが、できるだけ早急な対応が必要である。換言すると、外国人労働力の計画的な導入や移民の受け入れ等についての基本計画・基本施策を、官民一体となって策定しなければならない。それは世界でもかなり閉鎖的で排他的であり続けた日本社会を、より柔軟で寛容な社会につくり変える極めて野心的な試みに違いない。◆日本に相応しい移民政策を考える外国人労働者・移民の受け入れについては、すでに述べたように、女性、若者、高齢者の雇用などの最大活用をまず優先し、それらの方策に次ぐ重要であるが実施に多くの困難が予想される課題として、中長期的な視点から真剣に考慮されるべきものと考える。換言すれば、外国人をいわゆる「単純労働力」として短期的ニーズの解決策として受け入れるのではなく、日本の社会や文化の基本的あり方に深く影響を与えるものとして、多面的な検討を行った上で導入策を段階的に実行すべきことを提言する。単純労働を補うための労働力や移民の単なる受け入れではなく、日本が国際競争力と活力を失うことなく経済的に発展するだけでなく、社会的結集度や文化的密度を必要以上に弱めることがないような配慮も欠かしてはならない。まずは日本経済にどうしても欠かせない知的・職業的スキルをもった人材を主体として受け入れを考えることが、優先されるべきである。現在、東日本大震災からの復興や東京オリンピック開催の準備など土木・建設需要の増大により、建設関係の労働力が不足するのを補うための外国人労働者の導入が検討がされている。しかし、その後のことも含めて、この時期だからこその真剣な議論が必須である。一部18