ブックタイトル開かれ活力ある日本を創る

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概要

開かれ活力ある日本を創る

移民政策に正面から向き合わなければならないことになろう。従って、技能実習の抜本的な見直しにおいては、運営面ではなく「制度面の改革」を提案したい。その中で、「労働(職場)移動の禁止」は削除すべきである。労働移動を禁じるのは、外国人の基本的人権問題に抵触すると考える。移動を禁止し、厳しい労働環境を強いている実態を看過することは許すべきではない。現在約15万人いる技能実習生は、今後大幅に増えることが予想される。その中では日本語を習得し、技能も熟達した外国人を育成できるはずである。そうした有能な人材が技能実習の期間を超えても、なお日本で働き続けることができる仕組みをつくり、日本に定住可能な制度を設けるべきであろう。日本再興戦略は、介護分野についてすでに実施している経済連携協定(EPA)による外国人介護福祉士や技能実習制度での受け入れのほか、外国人留学生の活用と技能実習制度による受け入れを盛り込んでいる。また、介護福祉士として在留できる新たな枠組みを設け、留学生には国家資格を取得後に就労を認めるとしている。しかし介護や家事労働は対人サービスであり、一定の日本語能力が必要である。従って、それらの語学研修制度や、人権面に十分に配慮した仕組みを求めたい。◆包括的な移民法の整備と移民庁設置の検討を2060年には人口が4000万人減少し、超高齢化社会がさらに加速すると言われている。定住外国人がすでに200万人を超えたいま、永住権を取得した外国人は、事実上の移民であるにもかかわらず、いまだに「移民法」が整っていない。日本は、移民として多くの国民を海外に送り出した経験があることを忘れてはならない。ブラジル、ペルーなど南米、ハワイや米国西海岸などでは、日本人移民が幾つかの苦難の時期を経ていまや成熟した日系人社会を形づくり、地元の経済、文化の振興に大きく貢献している。2世、3世の時代になってようやく地元社会に溶け込んだ彼らの苦闘に充ちた歴史に目を向ければ、日本国内での移民の受け入れと定着が、長い年月を要する長期的な事業であることが理解されよう。最も身近な外国人である韓国・朝鮮籍の人たちや、父母らの祖国に住むようになって20年の歳月が流れた南米からの日系人など、すでに私たちの隣人となった外国人との共生の日々、さらには欧米各国の移民政策やその運用状況を注視してみると、移民受け入れのプラス面とマイナス面が実に多いことが見えてくるはずである。20