2023年12月25日

【開催報告】静岡県富士市にてジョイセフ主催 高尾美穂産婦人科医登壇 SRHR講演会を開催

このたびジョイセフは、地方開催初の試みとなる「SRHR講演会」を静岡県富士市で開催しました。

富士市は、ジョイセフが毎年国際女性デーに向けて開催しているホワイトリボンランの富士拠点を共催する自治体です。富士拠点は、年々全国で拠点が増えているなかで最も参加人数の多い拠点で、2023年は300名近くのエントリーがありました。


テーマ 「人生をよりよく生きるために~今なにを選ぶか。健康で幸せに生きるメソッド~」
日時 2023年12月13日(水曜日) 18時から19時10分
場所 富士市文化会館ロゼシアター 小ホール
講師 高尾 美穂 氏 産婦人科専門医(イーク表参道)、医学博士、ヨガ指導者、婦人科スポーツドクター
主催 公益財団法人ジョイセフ、国際ソロプチミスト富士
共催 富士市
定員 300名 (定員以上の申込あり)


日本とアフリカのケニアでジョイセフと共に活動する産婦人科専門医・婦人科スポーツドクターの高尾美穂先生に講師として登壇いただきました。

SRHR講演会のきっかけは富士市議会の市長答弁から

この講演会が富士市で生まれたきっかけは、2023年3月の国際女性デーに実施された富士市議会での市長答弁です。

富士市におけるSRHRの取り組みについて議員から問われた小長井富士市長が、「ジョイセフと共催で、富士市は毎年ホワイトリボンランを開催している」と答弁したことに始まります。

「ホワイトリボンランに参加していない人たちにもSRHRを知ってほしい。この言葉を普及したい」

富士市男女共同参画担当課と私たちジョイセフの想いに共鳴した地元の国際ソロプチミスト富士が協力してくださり、今回の講演会の企画・開催にいたりました。

高尾美穂先生の転機はケニア・ナイロビの国際会議

「性と生殖に関する健康と権利(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ=SRHR)が、基本的人権の1つであることを国際社会が初めて提唱したのが1994年の国際人口開発会議。そこから何十年も経っているのに、まだまだ日本ではこの言葉も、その意味も知られていない現状がある。そして、まだこの国では、すべての女性が自分の人生を自分で決めているとはいえないのでは……」

そんな語りかけから高尾先生の講演がスタートしました。

現在の高尾先生が、いわゆるクリニックでの診療をメインとする医師の範疇に留まらない広範な活動を行う転機のひとつは、2019年にケニアで開催されたナイロビサミット(ICPD+25)にジョイセフに同行し、世界から日本の現状を見たことでした。

ナイロビサミットで掲げられた3つのゼロ

・家族計画サービスへのアクセスが満たされない状況をゼロに
・予防可能な妊娠・出産による妊産婦の死亡をゼロに
・児童婚などの有害な慣習とジェンダーに基づく暴力をゼロに

SRHRの残された深刻な課題である3つのゼロを達成するというテーマが、一見日本では達成されているようで、現実にはまだ道半ばである、ということ。

つまり例えば、避妊の選択肢が世界に比べて少ないこと、その中でも女性が主体的に避妊具を選ぶという考えや慣例が浸透していないことなど。

そして話は「女性の不調は外から分かりにくい、それこそが課題」といった身近な内容に移り、思春期~性成熟期・更年期・老年期と移り変わる女性のからだには、ひとりひとり違った悩みや落とし穴があること、それらに対して対応策があることを予め知ることで前向きにアクションができる、と高尾先生は力強く語りました。

高尾先生は、stand FM「高尾美穂のリアルボイス」でも講演会の様子を話しています。

▼2023年12月13日「誰しも自分ごとにならないと分からないもの」
https://stand.fm/episodes/6579bff71982d00ed57b3579

講演会を終えて

講演終了後には、著書のサイン会にも長蛇の列ができました。おひとりおひとりに笑顔で対応し、参加者が笑顔で帰って行かれたのが大変印象的でした。

当日はNHK静岡や地方紙の取材も入り、翌日のNHKのお昼・夜のニュースで紹介されました。

▼NHK静岡 NewsWeb(動画あり)
https://www3.nhk.or.jp/lnews/shizuoka/20231214/3030022470.html

冒頭にご紹介した高尾美穂先生の言葉にもある通り、まだまだ日本では「SRHR」という言葉もその意味も浸透していない現状があります。今回の講演会に参加した一人ひとりがまずは自分自身の日々の選択を大切にし、性と健康について自分で決定することが当たり前になる日を願っています。

そして、すべての女性がSRHRを享受できる世界を目指して一緒に活動していきましょう。

活動の仕方はいろいろあります。あなたに合った活動でぜひご参加ください。

▼マンスリーサポーター「ジョイセフフレンズ」になる
https://www.joicfp.or.jp/joicfp_friends/

▼寄付をする
https://www.joicfp.or.jp/donationform/

▼ホワイトリボンランに参加する
https://white-ribbon.org/white-ribbon-run/

▼チャリティグッズを買う
https://joicfp.shop/

▼メルマガ登録をする
https://www.joicfp.or.jp/jpn/mail_magazine/

現在、ジョイセフでは【あなたにもできる!世界の女性支援】ジョイセフ冬のアクションキャンペーンを開催中です。
https://www.joicfp.or.jp/jpn/2023/12/15/53930/

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参加者の多くは40代~70代の女性であったように思います。

日々の中で家庭・職場・地域などたくさんの役割を抱え、時には身体の不調も抱えながら生活をしていると、我慢をしながら時間が過ぎるのを待つことを往々にして経験しているのではないでしょうか。

そんな時期でも、心と身体の状態を家族やパートナーや医療従事者に知ってもらう努力を諦めずすること、前向きな理解を得るために言葉を選ぶこと、伝わる言葉を選ぶために学び続けることを諦めたくないな、と高尾先生のお話を聞いて感じました。(筆者も更年期にさしかかる世代です)

嬉しいことに、会場には2割弱ほどの男性の参加者もいらっしゃいました。老若男女関係なくSRHRへの理解を深めて一緒に考えていける未来も遠くはないですね、きっと。

縣 佳子
外資系IT企業の営業職、専業主婦、整理収納コンサルティング事業(個人事業主)、建設会社の事業企画・不動産管理部門を経て、2023年にジョイセフ入職。ジョイセフフレンズ・個人寄付者を担当。 個人事業主時代に、自分で住環境や生きる世界を選び取る重要性を痛感したことから女性の健康と権利を「女性. 選択できる世界を」という強いメッセージでけん引するジョイセフに期待と希望を抱き、一人でも多くの支援者にメッセージが届くようマーケティング分野での活動を志す。 思春期の娘2人、夫、愛犬と暮らす。好きなことはドラマ鑑賞・ヨガ・愛犬とののんびり自宅時間。