2024年1月24日

世界のSRHRニュース:1 ナミビア、ザンビア、ケニア

世界で起きているセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)関連のニュースをお届けします。

News1: ナミビアのエロンゴ州におけるGBV 問題

【出典】2024年1月17日 ナミビア The Namibian紙 “More than one GBV incident per day in Erongo”

【概要】
2024年1月15日にナミビアで行われた男女平等・社会開発・家族問題に関する議会の常任委員会(Parliamentary Standing Committee on Gender Equality, Social Development and Family Affairs)で、ソーシャルワーカー代表のオードリー・ゲーズ(Audrey Gaes)氏が、ナミビアのエロンゴでは2021年から現在まで、1,374件のジェンダーに基づく暴力(GBV)事件が起き、そのうち284件が強姦事件という憂慮すべき事態だと報告した。

さらに、2021年4月から2023年末までに、85件の望まない妊娠、343件の10代の妊娠が報告され、このうち250件では父親が認知していないとした。

また、GBV撲滅のためのさまざまなプログラムが実施されているにもかかわらず、GBV予防支援施設の継続が困難であったり、GBVサバイバーのための安全な場所が確保できなかったり、メンタルヘルスの専門家の不足などの問題が起きている。

ゲーズ氏は、学校へ行かず幼いうちに犯罪組織に加わる地域の少年たちへの介入や、エンパワーメントにつながるプログラムの必要性を訴えた。また、GBV撲滅にすべての関係者が積極的に関わり、被害にあった際には報告することをコミュニティに奨励した。

News2: ザンビアの助産ケアを国家戦略計画に

【出典】2024年1月5日 ICM 国際助産師連盟News “Zambia’s path to improved maternal services through midwifery services”

【概要】
国際助産師連盟(International Confederation of Midwives: ICM)は、2023年10月にザンビアを訪問した際、ザンビア保健省(MoH)、ザンビア助産師協会(MAZ)等関係者と協議し、助産師主導型で妊産婦が必要とする効果的な医療サービスを提供するプロジェクトの継続を決定した。この活動は、助産サービスフレームワーク(MSF)実施において助産ケアを国家保健戦略計画に統合することを目的とし、プロジェクトの責任はMAZに完全移行された。

ザンビア政府が、助産師主導の妊産婦ケアを国家保健戦略計画に統合すると約束したことは重要であり、プロジェクトの継続は、ザンビアにおける助産師のリーダーシップ、教育、規制、妊産婦保健サービスの強化における大きな進展を意味するとのこと。

News3: ケニアで増加するフェミサイド

【出典】
2024年1月15日 英BBCニュース “Kenya femicide: A woman’s murder exposes the country’s toxic online misogyny”
2024年1月17日 ケニア放送公社KBC “FIDA Kenya condemns recent femicide cases”

【概要】
ケニアでは2024年1月初めに、26歳のセレブリティ女性がAirbnb(民泊)で絞殺され、大きなニュースとなった。その少し前にも、ナイロビで24歳の女性の残忍な殺害事件が起きている。ここ数年、ケニアで女性が殺害されたケースは10件あり、報道されていないケースも多くあると、ケニア女性弁護士連盟(The Federation of Women Lawyers in Kenya: FIDA)は、フェミサイド(ジェンダーを理由とする殺人)の増加を懸念する声明を発表した。2022年の調査によると、ケニアでは女性に対する暴力(VAW)が蔓延している状態にあり、少なくとも34%の女性が身体的暴力を受けたことがあると答えている。

今回の事件では、殺害された女性を非難、攻撃するコメントが多く投稿されている「マノスフィア(Manosphere)」というケニアのSNSが注目を集めた。マノスフィアは、男性優位の社会を支持し、フェミニズムに対抗するメディアとして知られている。ケニア国内ではこうした被害者女性への非難の広がりを受け、X(旧ツイッター)に「STOP KILLING WOMEN」がトレンド入りした。ケニアのパサリス(Esther Passaris)議員は、「ケニアは家父長制社会であり、被害者を非難する声があっても驚かない」とし、自分も世間の注目を浴びる女性として、侮蔑的な言葉の標的にされ、しばしば「売春婦」と呼ばれるという。

ケニアの民間警備規制庁では、アパートやホテル、民泊施設のセキュリティや警備を強化する体制を取り始めている。

 

ジョイセフ 編集室