
文京区I LADY.ピア・アクティビスト活動体験記:4年間の活動成果
2025.10.24
- ILADY
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- 実施レポート
ジョイセフは、2022年度より文京区ダイバーシティ推進課と連携して、「ピア・アクティビスト育成事業」を実施してきました。この間に生まれたI LADY.ピア・アクティビスト(以下、ピア)たちが、
が、どのようにSRHR(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:性と生殖に関する健康と権利)を伝え、そしてこれまでの活動を通して自分自身にどのような変化があったのか。5名の活動体験談をまとめました。
せいら
“「誰かの自分らしさを支えるためには、まず自分自身を大切にすること」が欠かせないと気づきました”
- せいらさんの活動体験談
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なぜピアになったのか
私はネパールでの支援活動を通して、教育や健康をはじめとしたさまざまな社会課題に触れました。その経験から「自分らしい生き方を大切にしたい」という思いを強く持つようになり、同年代の人がそれぞれの「自分らしさ」を大事にできるような手助けをしたいと考えるようになりました。I LADY.の活動を知り、ピア・アクティビストとして参加することを決めました。これまでの活動内容
文京区でのワークショップの企画・運営や、東京ドームで開催された「Choice FES BUNKYO」*、大学の学園祭(ゆかり祭)での発信活動を行いました。また、国際女性デーのデモに参加し、社会の中で声を届ける経験をしました。これらの活動を通して、身近な人たちが気軽に社会課題について考えられるきっかけをつくることを意識しました。
*Choice FES BUNKYO:文京区ピアがミニワークショップを通して、生き方や人生のChoice(選択)のヒントとなるSRHRの情報を伝えるイベント。2023~2025年度で、計3回実施。
学園祭での発表

国際女性デーのデモ「ウィメンズマーチ」に参加
周りからの反応は?
「いい取り組みだね」と言ってもらえることがありました。大きな反応を直接受けたわけではありませんが、私が話し始めたことで、周囲の人も実は問題意識を持っていたのではないかと感じました。活動を通して、そうした人が少しでも安心して考えられる場を作ることができたのではないかと思います。活動を通して、自分はどう変わった?
「誰かの自分らしさを支えるためには、まず自分自身を大切にすること」が欠かせないと気づきました。また、社会問題にこれまで以上に関心を持つようになり、自分の視野をさらに広げていきたいという思いが芽生えました。今後、どんなふうにI LADY.に生きたい?
これまでのピア活動を通して、社会課題について考えたり、周りの人が話しやすい場を作ったりしてきました。今後も、社会問題に対して声を上げ続けることを意識しつつ、自分自身の心や体も大切にしながら、前向きに活動を続けていきたいです。
はな
“「自分に心地良いときめきを大切にする生き方」がしたいです!”
- はなさんの活動体験談
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なぜピアになったのか
私がピアになった理由は、SRHRの内容に当事者性を感じたからです。
高校生の頃、パートナーとの付き合い方や性に関することで悩んでおり、人に話せなかったことから生きづらさを抱えていました。その後、大学に進学し、文京区ピアの募集チラシを偶然見かけると、そこには当時悩んでいた「月経」「避妊」「パートナーシップ」の文字が書かれていました。「これだ!」と思い、説明会に参加すると、それらはすべてSRHRに関わるトピックだと知り、誰もが当事者性のあるSRHRの啓発活動を行い、これまでの自分の選択やこれからのことを活動を通じて見つめ直したいと思い、ピアとしての活動をはじめました。これまでの活動内容
【こども食堂でのセッション】
私が性に関する悩みを抱えていたのは高校生の頃で、当時誰にも話せないと思い、一人で抱えてしまっていたことから、高校生や思春期のこどもたちにピアとしてSRHRを伝えたいという想いは私のピアになってやりたいことの一つでした。しかし、思春期のこどもたちに伝える場所を確保するのはとても難しく、何度も実施先との面談を行い、断られてしまうこともありました。
しかし、諦めずに課題意識を持ち続けた結果、リージョナル・アクティビスト(大人サポーター)から力を借り、こども食堂にボランティアで訪れた高校生に「ボディイメージ」についてのセッションの実施にこぎつけました。
当日高校生からは「もっとかわいく、美しくならなきゃ、という思いもあるけれど、ありのままの自分も大事にしようと思った」など、等身大の意見が寄せられました。このセッションから、私自身も美しくなりたいと思うときはあるけれど、美の基準が文化や広告によって異常に高くなっていないか、自分のバイアスに気づくことが大切なのではないかと考えさせられました。
こども食堂でのイベント
【学園祭】
ピアの活動で4年間続けている学園祭の出展では、毎年友人や訪れた保護者の方や受験生に「SRHRについて考える展示・ワークショップ」を開催しています。2年目の展示では、「パートナーを大切にするには、何を意識したい?」などの質問を掲示し、参加者にその答えを付箋紙に書いて貼ってもらう参加型展示を企画しました。「相手の立場になって考える」「依存しない距離感」などのたくさんの意見が集まりました。
学園祭での参加型パネル展示
【インドやザンビアのピアとの交流】
月一勉強会での企画で海の向こうのピアとも交流を行いました。インドのピアは活動でデモ行進や演劇を交え、より多くの人に月経や避妊について伝える方法を考えていたのが印象的でした。周りからの反応は?
最初はSRHRの啓発活動をしてると話しても、周りの人はピンとくる様子はなかったのですが、毎年学園祭に出展したり、興味関心をオープンにすることで、私の周りも性に関する話を自然としてくれるようになったり、SRHRという言葉も知って良かったと言ってくれて、活動を応援してくれています!活動を通して、自分はどう変わった?
活動を始める前は自分にあまり自信がなく、自分のことがあまり好きではありませんでした。しかし、「自分のからだのことを自分で決める」といったSRHRの基本的な考え方は自己肯定感と深く結びついており、それを意識していくにつれ、「自分を大事にできる人」に変化しました!今後、どんなふうにI LADY.に生きたい?
今後は、「自分に心地良いときめきを大切にする生き方」がしたいです!自分の身体のことを良く知って、自分のからだに合った選択を楽しみながら探したり、自己肯定感を土壌にし、自分の伝えたいことをしっかり伝え、より健康的な人間関係や生活を楽しみたいです!
みのり
“自分の生き方を自分で選択する大切さ、そのために知識が必要なことに気付けました。”
- みのりさんの活動体験談
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なぜピアになったのか
『世界女の子白書』(電通ギャルラボ著、国際協力NGOジョイセフ監修・協力、2013年)を読んだことや高校時代の経験から、SRHRについて知ったり、行動したりしたいと思うようになりました。その後、大学に掲示してあるポスターを見て「これだ!」と思ったからです。自分がモヤモヤしていることの正体を知るだけでなく、SRHRについて周りに広げられることが魅力的に感じました。これまでの活動内容
ピアの仲間3人と一緒に、大学で日本や海外の避妊方法について話すイベントを行いました。避妊の方法を学ぶだけでなく、国によって使える避妊方法が異なることを知れた経験になりました。
また、こども食堂のボランティアと「ジェンダーとセクシュアリティ」について話すイベントも開催しました。幅広い年齢層の方と、こどもたちと接する上でどのような声かけが良いかを話し合うことができました。
こども食堂でのイベント
周りからの反応は?
雑談の場などで気軽にSRHRに関する悩みを打ち明けてもらうことが増えました。また、活動に対して素敵だと言ってもらうこともありました!活動を通して、自分はどう変わった?
自分で選択する大切さに気づけました。そして、選択するためには知識が必要なことがわかり、SRHRについて継続的に勉強しようと思うようになりました。また、ピアとは別に、大学の仲間とSRHRのトピックを話せる場を作るサークルを立ち上げました!ピアになる前よりSRHRに対して真摯になり、行動的にもなったと思います。
今後、どんなふうにI LADY.に生きたい?
自分の生き方を自分で選択する(Decide)ように生きていきたいです!また、自分のありのままを受け入れて愛しながら生きていきたいです!
はら
“バウンダリーは、自身を守るためにも相手を傷つけないためにも重要”
- はらさんの活動体験談
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なぜピアになったのか
通っていた高校の近所で女子生徒を狙った加害行為が年に数回あり、自分たちのからだが軽視されているように思いSRHRに関心を持ち始めました。大学生活後半で何かしらの行動に移したい!と思いI LADY.に参加しました。これまでの活動内容
ピアの仲間と共に大学にてSRHRに関するセッションを行ったり、学生が多く集まるイベントに参加しその場でI LADY.のワークショップを開催したりしました。また国連女性の地位委員会(CSW)という国際会議に参加し、世界のSRHRの現状について学んできました。
周りからの反応は?
SRHRのセッションをすることで「今まで知らなかったことを知れてよかった」などのポジティブな言葉をもらえることがたくさんありました。若者だけではなく、大人からも「SRHRの知識が広がることはすごく重要なことですね」と声をかけてもらったこともあり、I LADY.に参加して良かったと思っています。活動を通して、自分はどう変わった?
ピアの活動をきっかけに、より人間関係を大切にしようと思うようになりました。ピアの活動では人とのバウンダリーを大切にしてセッションをするのですが、この考え方は自身を守るためにも相手を傷つけないためにもすごく重要な価値観であることを痛感しています。今後、どんなふうにI LADY.に生きたい?
他者だけでなく自分のことも大切にしながら生きていきたいと思っています!そしてピア・アクティビストとして学んだことを可能な限り広げていきたいです。
とうこ
“どのように声をかけるか、どういう表現を用いるか、小さなところの意識が変わっていきました。”
- とうこさんの活動体験談
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なぜピアになったのか
ジェンダーやボディイメージに興味があったことと他のSRHRについて何も知らなかったため、学びたいという気持ちで入りました。これまでの活動内容
大学の学園祭に出展したり、講義の補講の時間をお借りしてセッションを行ったりという学内の活動を行いました。また、東京ドームや文京区などのイベントで多くの方々とSRHRについて話す学外の活動も行いました。
学園祭での発表
周りからの反応は?
人前で話すことがあまりないため意外だと言われました。しかし学園祭などを通して、親や友人にSRHRを伝え、現在ではわかりやすい説明だねと言われるようになりました。
活動を通して、自分はどう変わった?
SRHRを知って視野が広がりました。そしてどのように声をかけるかやどういう表現を用いるかなど、小さなところの意識が変わっていきました。今後、どんなふうにI LADY.に生きたい?
自分のことを大切にして、自分としっかりと向き合っていきたいです。