第3回ジョイセフラウンジ2025 レポート —— 支援の“いま”を共有し、未来への一歩をともに

2025.11.28

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2025年10月29日、今年3回目となる「ジョイセフラウンジ」を開催しました。

4月・7月に続き、支援企業を中心とする多様な支援者の皆さまがジョイセフに集い、国内外のSRHR(性と生殖に関する健康と権利)をめぐる最新動向の共有やジョイセフの活動報告をする温かな時間となりました。
今回は、「性と恋愛の意識調査2025」の結果報告、全国18カ所で展開する「#性と人生のホンネ」対話イベントの中間報告、ガーナ事業の近況、企業とのパートナーシップ事例紹介、そして東京レガシーハーフマラソン2025のジョイセフチャリティランナーからの報告と、内容の濃い5つのプログラムで構成されました。

本レポートでは、支援の輪がリアルにつながっていった当日の様子を、詳しくお伝えしていきます。

最新のSRHR動向を読み解く「性と恋愛の意識調査2025」報告

パートナーシップグループ・ディレクターの小野より、8月末に発表した「性と恋愛の意識調査2025」の主要ポイントが紹介されました。

本調査は2019年から2年に1度実施しているもので、今年は若者(15〜29歳)に加えて30〜64歳の大人層まで対象を拡大。約9,000人が回答した、過去最大規模の調査となりました。

小野は、全30問のうち特に社会的示唆の大きい部分を取り上げ、世代差やジェンダー差が色濃く表れた結果を丁寧に解説しました。

若者、大人世代とも出会いは職場や学校などリアルな場が中心であること。その一方で、若者の間でマッチングアプリを通じた出会いの機会が増えていることもわかりました。

若者の約7割が「結婚したい」、約6割が「子どもを持ちたい」と回答したものの、結婚・出産の最大の壁として“経済的不安”を挙げていること。

また、性行為へのイメージには男女で大きな差があり、男性は「気持ちいい」、女性は「スキンシップ・子づくり」を想起する傾向が続いていることも明らかになりました。

性的同意をめぐる認識のギャップについても、顕著な結果が確認されました。

参加者の約9割が「性的同意は大事」と回答しているにもかかわらず、「具体的にどういうことか分からない」という声も多く、知識と実践との間に大きな隔たりがあることが浮き彫りになりました。

避妊をめぐっては、若者世代の6割、大人世代の7割が「避妊は男性の役割」と考えており、妊娠・出産をめぐる意識の偏りが固定観念として根強く存在する現状も示されました。

女性の多くが「言いづらさ」を理由に避妊の希望を伝えられない一方、男性は「快感が損なわれる」を理由に避妊をしないケースが見られるなど、ジェンダーによって理由に違いがあることも特徴的でした。

性の相談先についても大きな課題が見えてきました。

若者男性の約3分の1が「相談先がない」と答え、一方で若者女性は友人や母親、医療従事者に相談する人が多く、男女間で情報へのアクセスに大きな差があることが明らかになりました。

調査全体を通じて、SRHRを「説明できる」と答えた人は全体の1割未満でした。性教育や相談先の整備がまだまだ足りておらず、学ぶ機会の不足がジェンダー不平等や誤った理解を助長していることが伺え、今後の普及啓発の重要性をあらたに認識する機会ともなりました。

▼調査で明らかになったポイントまとめ

・出会いの場は、若者・大人世代とも職場・アルバイト・学校が中心。若者の間では「マッチングアプリ」も。

・若者の約7割が結婚願望、約6割が「いつか子どもを持ちたい」。結婚・出産をためらう最大の理由は世代共通で「経済的不安」。

・セックスのイメージには男女差が継続(男性は「気持ちいい」、女性は「スキンシップ・子づくり」など)。約9割が性的同意を「大事」と考える一方、内容を具体的に理解していない層も多い。

・「気が乗らないのに性行為をした経験」は女性で高く、既婚女性では65%超。

・避妊を「男性がするもの」と考える人は、若者で約6割、大人で約7割。避妊しない理由は男性では「快感が損なわれる」、女性では「相手に言いづらい」などが目立つ。

・性に関する主な情報源は若者ではインターネットや動画サイト、SNS。男性はアダルトサイトも多い。

・若者女性は自分の体に自信が持てず、見た目への不安を感じている人が多い。

・HPVワクチン接種率はこの2年で若者の約4割まで上昇。きっかけは「親に勧められた」が上位。

・性の悩みについて「相談相手がいない」若者男性は約3分の1。若者女性は友人・母親から始まり、年齢とともに医療従事者が主な相談先に。男性の相談先の乏しさはジェンダー不平等の一端とも言える。

・学校で受けた性教育を「役立った」と感じるのは若者で約半数、大人では3割未満。どちらの世代も、性交の交渉の仕方や避妊、性的同意について「もっと学びたかった」と回答。

・「子どもを産まないのはわがままだと思う」への同意は男性で相対的に高く、出産への社会的プレッシャーがうかがえる。

・「SRHRを説明できる」と答えた人は、若者・大人ともに1割未満にとどまる。

性と恋愛 意識調査2025の詳細結果はこちら

地域の声と向き合う「#性と人生のホンネ」対話イベントの中間報告

ホワイトリボンとファンドレイジングを担当する森田から、日本国内で展開中の「#性と人生のホンネ」対話イベントの中間報告を行いました。

本イベントは、ホワイトリボンラン2025や連携マラソン大会からのチャリティ寄付を原資に、全国18カ所で実施しています。

7月にスタートし、北海道、新潟、関東5県、静岡など、すでに半数以上を回り終えました。

森田は、対話イベントで地域を訪れるほど、その土地ごとの“性の語りづらさ”や課題が見えてきたことについてふれ、各会場で寄せられた声を紹介しました。

対話イベントのプログラムではまず、性を「食欲・睡眠欲・性欲」という人間の三大欲のひとつとして捉え、“なぜ性の話がしづらいのか”を一緒に考えるところからスタートします。

そのうえで、性に関する事件やニュース、行政の報告資料や判例、相談窓口の情報をもとに地域課題を可視化し、意図しない妊娠や性感染症、デジタル性暴力など、身近でありながら学ぶ機会の少ないテーマについて理解を深めていく方法で対話を進めます。

参加者の多くは40〜50代の女性で、アンケートでは「性の話を初めて誰かとした」「帰宅してパートナーと話してみた」などの声が寄せられたとのこと。

対話イベントを通じて、性に関する困りごとを一度も誰かに話したことがない人が多いという気づきが得られました。だからこそ、“安心して話せる場”をつくる意義が大きさをあらためて実感しました。

ガーナの現場から届いた妊産婦と若者を支える取り組み

国際協力の現場からは、ジョイセフのガーナ事務所でスタッフとして活動し、現在は東京事務所でインターン中のフランク・アダイ氏より報告が行われました。

フランクはまず、ガーナの多様な社会背景について触れました。英語を含む80以上の言語が共存し、伝統的な首長制と近代的政治行政が併存する独特の文化を持つ国であること。そのため、性教育や医療サービスの普及にも言語・文化の壁が大きく影響していると説明しました。

ジョイセフが活動するアッパーマニャ・クロボ地区では、妊産婦死亡率の高さ、若年妊娠の多さ、医療アクセスの困難さが深刻な課題となっています。医療施設まで3時間以上かかる家庭も多く、時にはボートで移動中に出産してしまうケースもあるといいます。

こうした現状を受け、ジョイセフは地域に根ざした包括的な支援を行っています。

若者の生計支援と性教育を組み合わせたアプローチ、医療施設の整備と人材育成、そして企業からの寄付による安全な分娩環境の確保など、多面的な取り組みが進んでいます。

フランクは「皆さまの支援が、確実に命を守る活動につながっています」と深い感謝を述べ、報告を締めくくりました。

企業連携が広げるSRHRの輪と寄付付き商品を通じた新しい参加のかたち

法人連携を担当する榎本より、ジョイセフが企業と実施している寄付付き商品連携の紹介を行いました。

寄付付き商品によるご支援には、食品、化粧品、ファッション、アクセサリーなど多岐にわたる企業とが参加しています。

今回は、ゲストとしてTHE NORTH FACE の田中さんが登壇し、チャリティTシャツ「CR Message Tee」を企画した背景や、そこに込めたブランドとしての想いをご紹介いただきました。

「子どもは妊娠期から始まる」という視点からマタニティラインを立ち上げ、次のステップとしてSRHRへのメッセージをTシャツに落とし込むことに挑戦されたとのこと。企画を進める際にも、「誰にとっても無理なく、自然に支援につながる形をつくりたい」という想いが軸になっていたそうです。

さらに、2026年の春にはミモザをモチーフにした新デザインが登場予定です。「日常で身に着けてもらうことで、SRHRの認知を自然に広げたい」と話す田中さんの言葉からは、商品を通じて SRHR の認知普及に役立てたいという思いが伝わってきました。

思いやりを一歩の行動へ——チャリティランナーが届けたいメッセージとは

東京レガシーハーフマラソン2025にジョイセフのチャリティランナーとして参加した、ボン・イマージュ所属のモデル、カルバン・ジョーさんに、当日を振り返り、走りながら感じたことや学びについてお話しいただきました。

カルバンさんは、初めてのハーフマラソン挑戦にも関わらず見事完走。

「チャリティとは、思いやりを行動に変えること。小さな行動の積み重ねが、社会の変化につながる」と語り、会場に温かな拍手が広がりました。

ひとりの一歩が、誰かの未来を照らしていく

今回のジョイセフラウンジ は、調査データ、国内の対話活動、ガーナの現場、そして企業や個人の取り組みがひとつにつながり、SRHRの「いま」を多角的に見つめる時間となりました。

参加者からは、「ジョイセフの活動や企業との取り組み事例を幅広く学べ、交流の機会としても有意義だった」との声が多く寄せられ、特に現地スタッフによる報告については「現場のリアルな声が印象に残った」との感想が聞かれました。また、「今後もメディア連携を含め協働の機会を持ちたい」「ジョイセフの取り組みを応援したい」といった、さらなる連携への期待も寄せられています。

さらに、「参加しやすく、落ち着いて交流できた」との声もあり、最新トピックスや新たな企業・団体との連携事例の紹介を通じ、対面でのネットワーキングの継続を望む意見も多くいただきました。

ジョイセフは、参加者の声や支援者の思いを力に、“いま”の現場と“未来”の社会をつなぎながら、国内外でのSRHR推進を丁寧に続け、誰もが自分らしく生きられる世界の実現に向けた歩みを進めてまいります。