
ガーナで現在進行中の「ガーナ若者未来プロジェクト」。現地から最新情報をお知らせします。
このプロジェクトには2つの大きな柱があります。ひとつは、バイクタクシーの運転手を、性と生き方を若者が自分で選べるように知識を伝える「アンバサダー」として養成すること。そしてもうひとつが、今回ご紹介する「若者たちが自立して生きていくための技術見習い(職業訓練)」です。
若者が自分の性や生き方について正しい知識を持ち(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)、同時に経済的な基盤を築くこと。この両輪を支える活動の舞台裏をお伝えします。
2年間で「プロの技術」を身につける
今回の職業訓練で若者たちが習得するのは、以下の5つの技術です。
- 縫製(仕立て屋)
- 髪結い(ヘアスタイリスト)
- 大工(家具製作や屋根葺き)
- 金属加工
- ガラス加工
これらは、本人の希望を聞いた上で、地域の「職人(トレーナー)」とマッチングします。3年間のプロジェクト期間中、前半と後半のグループに分かれ、計30名の若者がそれぞれ2年間かけて技術を磨きます。
支援を「本当に必要な人」へ届けるためのハードル
プロジェクトを進める中では、国際協力の現場ならではの困難もありました。特に、技術を習得する候補者を選ぶ段階では、いくつかの問題に直面しました。
- 1. 職人不在という、僻地ならではの課題
- 活動地域のひとつであるアニャボニ地区は、携帯電話の電波すら届かない場所です。ここでは職業も限られ、上に示した技術を教えられるトレーナーがいません。そのため見習い訓練を受けるためには隣の地区まで通うか、親戚などを頼って引っ越しをする必要があります。その調整は保護者が責任を負うということがハードルとなり、当初はなかなか候補者が見つかりませんでした。
- 2. 公平な選定の難しさ
- 地域のリーダーたちに基準を示して候補者の選定を依頼した際、本来優先されるべき若者が選定されていないケースがありました。ジョイセフスタッフは現地の保健スタッフや地域のリーダーたちと粘り強く話し合い、プロジェクトの目的を改めて伝え、選び直してもらいました。
「役割と責任」を分かち合う、対話の積み重ね
こうした紆余曲折を経て、ようやく関係者が一堂に会する会議に至りました。現地のスタッフ(前回の記事でも紹介したGershonやカントリーマネジャーであるMr.Obeng)の尽力により、郡保健局、地域のリーダーや保健スタッフ、トレーナー、若者本人とその保護者が、それぞれの役割と責任を記した合意書(MOU)を確認し合うことができたのです。
ジョイセフは今後、ミシンやハンマーなどの道具を提供し、若者たちの様子を郡保健局や地域の人たちと共に見守っていきます。
この道具の手配も一筋縄ではいきません。予算には限りがあるため、経理スタッフのJosephを中心に、トレーナー一人ひとりと丁寧な交渉を重ねました。いただいた寄付を必要なものに適切に使うため、「これは本当に最低限必要な道具か?」を一点ずつ確認し、公平性を保つための努力を続けています。

技術を教えるだけでなく「健康と権利」も守る
ジョイセフの活動の大きな特徴は、技術を教えるトレーナーたちに「若者が健康や権利(SRHR)について学ぶ時間を確保すること」を約束してもらっている点です。
若者たちは、自らが同世代の啓発リーダー(ピア・エデュケーター:PE)であったり、そうでない場合も他のPEから、自分の健康を守り、望まない妊娠や病気を防ぐための知識を学んだりします。
思春期の女の子が今日のご飯を買うお金がなくて年上の男性に頼らざるを得ず、望まない妊娠につながってしまう。そうした現実がある場所だからこそ、経済的な自立と、自分自身の健康を守る知識の両方が必要なのです。
夢に向かって歩み出した若者たちの声
現場では、すでに希望に満ちた変化が始まっています。

- ブリジットさん(縫製見習い)
将来に役立つことを学びたいと思っていたので、この機会を得られて本当に嬉しいです

- エスターさん(縫製見習い)
私の地域には仕立て屋さんもヘアスタイリストもいません。私が技術を身につければ、地域にとっても大きな助けになるはずです。チャンスをくれた皆さんに感謝しています

- ステラさん(指導にあたる仕立て屋さん)
子どもたちが技術を身につけ一人前になれるよう、責任をもって教えます。このプロジェクトは若者だけでなく、その家族や私たちトレーナー、地域全体にとっても大きな利益をもたらすと思います
2年間で技術を習得し、プロとして卒業するのは決して簡単ではありません。しかし、かれらが「仕立て屋さんになる」といった自分の夢を叶えられるよう、ジョイセフはこれからも現地に寄り添い、支援を続けていきます。
引き続きのご支援を、どうぞよろしくお願いいたします。
いつもネイルがおしゃれなエスターさん。見習い1日目には、ボタン穴を縫う練習をしていました。そして2週間後には同期の見習いと一緒に、ミシンで縫う練習を始めていました。さらには、見習いの後輩にボタン穴の縫い方を教えている場面も。
いつも自分でやっているというネイルは、この日も素敵なデザインで、仕立て屋さんとしてもこのセンスが発揮される日が、さらに楽しみになりました。

- Author

橋本望
民間企業2社で営業職を経験の後、2024年にジョイセフ入職。日本とガーナで若者向けの啓発事業を担当。


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