日本政府、MDGsサミットで新国際保健政策を発表 -国際保健に50億ドル。-強化すべきは「家族計画」と「保健教育」-

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2010.9.24

途上国の女性と妊産婦を支援する国際協力NGO ジョイセフ(東京都新宿区、会長:明石康)は、9月20日(月)~22日(水)に開催されたミレニアム開発目標国連首脳会合(MDGsサミット、於:国連本部ニューヨーク)に関し、下記のような声明を発表します。

22日(日本時間23日)に閉幕したMDGsサミットでは、全てのMDGsの達成期限まであと5年という節目を迎え、各国首脳が一堂に会し、今後の戦略について討議しました。
日本政府は、MDGsの中で特に進捗が遅れている国際保健に対する新政策を発表し、MDG5(妊産婦の健康の改善)や、妊産婦の健康と密接に関係するMDG4(乳幼児死亡率の削減)、MDG6(HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止)に対する取り組みとして68万人の母親、1130万人の子どもの命を救うことを目標とした「菅コミットメント」を提示し、今後5年間で国際保健分野に50億ドル(4200億円)を拠出することを約束しました。
日本政府が国際保健課題に対し、明確な数値目標と共に資金的コミットメントを発表したことを、ジョイセフは高く評価します。さらに新保健政策の中で今後、強化すべき取り組みとして、ジョイセフは、下記2項について強く要望します。

家族計画への取り組み:
特にMDG4と5を達成するためにはMDGsの指標にもある通り、家族計画への取り組みが不可欠です。保健政策の中では、妊産婦死亡数を減らすための具体的な取り組みは詳細に示され、重点的に扱われていますが、妊産婦死亡を「予防」するために必要な家族計画に対する具体的な取り組みも明記されるべきです。

保健教育への取り組み:
本政策では保健教育への取り組みが明記されていません。女性が妊娠・出産で命を落とす大きな理由の一つに、異常の発見と、診断を受けるべきだという判断が遅れることが挙げられています。また、15~19歳の女性の死因の中で一番大きなものは妊娠・出産です。これから妊娠する可能性のある女性、またすでに妊娠している女性が医療へアクセスできるようにするため、コミュニティを巻き込んだ保健教育を実施することが妊産婦死亡を予防するために重要となります。

今回のMDGsサミットで菅首相は、6月のG8ムスコカイニシアティブに続き、母子保健に焦点を当て、MDG4、5の達成に向けて取り組むことを表明しました。「菅首相自らNGOなどの市民社会の役割は非常に大きいと発言。
このMDGsサミットが、本当に世界の女性と子どもの命を救うためのターニングポイントとなり、5年後に、歴史的瞬間であったと言えるよう、我々NGOも政府に説明責任を求めていきたい。」と、日本政府代表団の一員としてMDGsサミットに参加したジョイセフの矢口真琴(アドボカシーグループ チーフ)は報告しています。
ジョイセフは今後も新国際保健政策の確実な履行を求め、日本政府の取り組みに注目していきます。

【本件に関するお問合せ先】
ジョイセフ アドボカシーグループ 塩田恭子: kshiota@joicfp.or.jp  03-3268-5875