ジョイセフ、58回目の誕生日を迎えて — 国際協力の後退と国内課題が交錯する今こそ、SRHR推進を加速する—

2026.4.22

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国際協力NGOジョイセフ(東京都新宿区、理事長 勝部まゆみ)は、2026年4月22日、設立58年を迎えます。1968年の設立以来、女性の健康と権利を守る活動を国内外で展開してきた当団体は、その歩みを礎に、「誰一人取り残されない社会」の実現に向けた取り組みを一層強化してまいります。

現在、世界では紛争や気候変動による災害の激化に加え、アメリカをはじめとする国際支援の縮小・停止の影響を受け、国際協力の分野における後退(バックラッシュ)が懸念されています。その結果、本来支援が必要な地域に十分な支援が届かない状況が広がっています。望まない妊娠や安全でない出産、性に関する正確な情報へのアクセス不足など、女性と女の子の命と健康を脅かす課題は、依然として深刻な状況にあります。

一方、日本国内においても、性暴力の被害や、意図しない妊娠の末に孤立した出産や乳児遺棄に至るケースなど、性と生き方に関わる課題が顕在化しています。さらに、包括的性教育の地域差や不足、安心して相談できる支援体制の不十分さ、性や身体に関する話題をタブー視する社会的風潮などが重なり、必要な情報や支援にアクセスできない状況が続いています。

こうした国内外の課題に対し、ジョイセフは国際協力事業と国内啓発活動の両輪で、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(SRHR)の推進に取り組んできました。支援を「届ける」にとどまらず、一人ひとりが自らの人生を選択できる社会の実現を目指し、パートナー団体や企業、市民の皆さまとともに、その歩みをさらに前進させていきます。


 
■設立58年に寄せて:理事長 勝部 まゆみ より

SRHRは平和の指標

ジョイセフへの日頃よりのご支援に、心からの感謝を申し上げます。

ジョイセフは創立58年を迎えました。
この58年という数字自体に、特別な意味があるわけではありません。ですが、ジョイセフがこの長い年月、世界がどのような状況にあっても途切れることなく活動を続けることができたのは、皆さまのご支援と励ましの賜物です。

特に、この数年来、法に基づく国際社会の秩序が揺らぎ、コロナ禍以降、経済不安や環境問題も一層深刻になり、戦争、紛争が世界各地で勃発、激化しています。セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)にも逆風が吹き、特に、今年に入ってからは、国際的な対立が激化の一途をたどっています。
こうした環境の変化の中で活動を続けるため、皆さまのご支援が、どれほど貴重でありがたいことかを、改めて噛みしめています。

1945年の第二次世界大戦終結以降、世界は幾度となく核の脅威と破滅の淵に立たされ、踏みとどまってきました。しかし、今世紀に入り、持続可能な開発目標(SDGs)という国際社会の協働と連帯の約束も虚しく、世界を驚愕させたロシアによるウクライナへの軍事侵攻、イスラエルとハマスの武力紛争とガザ地区の深刻な人道危機、米国とイスラエルによるイラン攻撃に始まった中東地域の緊張の高まり、そして大きくは報道されない数多くの紛争や難民の増加など、危機的状況が日常の一部となりつつあります。

非人道的なニュースに接し続ける中でも、私たちは、痛みを感じる心を麻痺させてはなりません。世界各地で法の支配が危機に瀕している今こそ、日本は、力による支配に組することなく、国際法を遵守し、人権を尊重し、対話と国際協力によって平和を進める姿勢で、存在感を示さなければならないと、私は強く訴えます。

こうした危機に際して、私たちは軍事力や政治的駆け引きに目を奪われがちですし、被害や犠牲の規模は数字で伝えられ、そこに居る一人ひとりの姿は見えてきません。ですが、生死を分かつ状況で、最も残酷に破壊されるのは、SRHRという、ひとりひとりの人権と尊厳です。

戦争、紛争下で、安全安心な出産ができる施設が破壊され、避妊薬・避妊具や性感染症の治療薬が入手困難になり、情報へのアクセスが絶たれます。さらに悲惨なことに、女性の身体が(女性だけではありませんが)戦争の手段として利用され、性暴力が武器としてあからさまに使われます。SRHRを否定することは、人々の人格を否定し、尊厳と精神を破壊するのに最も効果的で残酷な方法だからです。

だからこそ、SRHRが守られているということは、国家や軍事勢力が個人の尊厳を尊重していること、権力が個人の領域に暴力的に踏み込んでいないことを意味します。
このことから、SRHRが守られていれば、その社会における他のあらゆる人権が守られていると言える、つまり、SRHRは、社会全体が安全であること、平和の指標でもあるのです。

SRHRが保障されている社会とは、最低限、以下の条件がそろっている社会です。
国家や武力が、個人の最もプライベートな領域である「身体」に介入せず、一人ひとりの身体の自己決定権を尊重していること。
安全な出産や医療ケアを提供できる社会システムが、最も脆弱な立場の人々にまで行き渡っていること。
力による支配ではなく、ジェンダー平等に基づく対話と共生が社会の基盤となっていること。

歴史が証明するように、平和が崩れる兆しは、SRHRへの軽視や侵害から始まります。逆に言えば、女性や子ども、そしてすべての人々のSRHRが揺るぎなく守られている社会は、真の意味で安全と言えます。
世界で、そして日本で、一人ひとりの身体の自由、自己決定権と尊厳が、誰にも、何ものにも脅かされない社会、SRHRが完全に保障された社会の実現を目指すことは、平和への希求でもあるのです。
ジョイセフは、これからもSRHRとジェンダーの平等を目指して、弛まずに活動してまいります。皆さまの変わらぬご支援を、今後も賜りますよう、何とぞお願い申し上げます。

公益財団法人ジョイセフ理事長
勝部 まゆみ

 


 
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