知るジョイセフの活動とSRHRを知る

性の健康と権利を、草の根から。ジョイセフと全国の地方との「新しい連携」

2026.4.27

いま、日本の各地から、SRHR(性と生殖に関する健康と権利)を進める機運が高まっています。 学校で、議会で、地域社会で。自分の性と人生について、自分で決められる社会を求める声が、全国に広がりつつあります。
その声をひとつにつなぎ、現実を変える力にしていく。ジョイセフは2026年、新たな連帯を後押しします。「SRHR推進地方議員連盟」の設立です。

「個人の問題」に見えて、実は社会に問題がある

望まない妊娠に気づき、一人で悩む高校生。月経の不調を職場に言えず、フルタイムで働き続ける女性。性暴力の被害にあっても、どこに相談すればいいかわからず、沈黙を選んでしまう人。

こうした問題は「個人の問題」や「自己責任」とみなされてきました。でも、本当にそうなのでしょうか。

正しい知識が届かない。相談できる場があっても、声を上げられない。必要なケアへのアクセスが整わない。一人ひとりの性の健康と権利を、社会の仕組みが支えていないことが、問題の根にあります。

見落とされがちですが、これらの多くは国の対応を待たずとも、地域で変えることができます。学校での包括的性教育のあり方。若い世代が気軽に相談できる窓口の整備。働く人の心や体を支える制度づくり。地域に根ざした人たちが動けば、確実に変えていける領域です。

全国で育ち始めた「変化の芽」

国の動きが遅れる中、地域では確実に変化が起き始めています。

ジョイセフがSRHR情報の提供と啓発を行う「I LADY.プロジェクト」では、2019年より全国の中学・高校・大学や自治体の男女共同参画センターにスタッフが出向き、月経、性的同意、避妊、ジェンダーなどをテーマに対話型の授業を届けてきました。「もっと早くから知りたかった」という声が、教室のあちこちから上がっています。

東京・文京区では、SRHRを学んだ若者たちが「I LADY.ピア・アクティビスト」として同世代への発信を担うようになりました。ほかの自治体でも、SRHRを学ぶ講座やイベントが開催されています。

そして2026年春、宮崎市との連携が新たな一歩を記しました。ジョイセフの知見と宮崎市が培ってきた性教育への姿勢が重なり、包括的性教育を地域全体で推進する取り組みが始まっています。

各地で始まった「点」がつながり、「面」となって広がろうとしているのです。

なぜ、いま地方議員と?

この動きをさらに加速させるために、ジョイセフは新たな連帯の仕組みを後押しします。

地域でSRHRの重要性を考える地方議員が増えており、ジョイセフは、その議員の皆さんとともに歩もうとしています。
地方議員は、住民に最も近い政策立案者です。地域で一人の議員が声を上げても、壁は厚い。しかし全国で同時に動けば、流れを変えられます。

「SRHR推進地方議員連盟」は、所属政党や会派の枠を越えた、超党派のネットワークです。

勉強会や情報共有、条例案・政策ガイドラインの共同作成。他の自治体の好事例を学ぶことで、データや実績といった裏付けをもとに、自分の地域で提案ができます。議員同士がオープンに学び合えるこの場を、ジョイセフが支えます。世界各地の文化や価値観の異なるコミュニティで、住民とともに変化を起こしてきた経験と知見が、日本の草の根の取り組みにも生かされていきます。

 


 

市民の一歩が、政策を動かす

この連帯には、重要な支えがあります。ジョイセフが主催するチャリティランの「ホワイトリボンラン」です。

毎年、国際女性デーのある3月に開催されるホワイトリボンランは、今年2026年に11年目を迎え、全国62拠点で開催されました。地域の住民が主体となって運営するホワイトリボンランの仕組みが、地方自治体に支持され、今では拠点の8割が自治体の協力や後援を得て開催をしています。

この実績が、「SRHR推進地方議員連盟」の発足に繋がりました。

今回、5000名を超えるランナーが47都道府県で参加しました。一人ひとりが、自分の暮らす地域で「Run to empower」と胸に大きく描かれた大会Tシャツを着て走るこのアクションには、「自分のために。誰かのために。」というスローガンが掲げられています。自分のからだ・健康を大切にすることが、誰かの命と権利を守ることにつながる。その両方をかなえたいという思いを表明する場です。

ホワイトリボンランの寄付金は、長年、アフリカやアフガニスタンなどでの女性の健康と命を守るプロジェクトに充てられてきました。2025年からは日本国内のSRHR課題の解決にも向けられ、包括的性教育の必要性を訴えるアドボカシー、若い世代への啓発活動につながっています。

そして2026年から、ホワイトリボンランの寄付金は、このSRHR推進地方議員連盟の活動にも活かされることになりました。参加してくださった皆さんの一歩一歩が、日本のSRHRを前進させる現実的な力になります。
 


草の根から、社会を変える——世界で学んだこと、日本で生かすこと

 
ジョイセフが世界で積み重ねてきた活動には、同じ原点があります。地域で生まれた変化が隣の地区へ、またその先へと広がっていく。そのことを、アフリカの農村で繰り返し目にしてきました。

ジョイセフの仕事は、現地のニーズから始まります。地域の医療従事者や教師、若者リーダーたちとともに地域保健委員会を組織し、人材養成や知識・技術の移転を重ねながら、住民主体のプロジェクトに伴走していきます。

その中で、人々の意識が変わり、行動が変わる。研修を受けた地域保健ボランティアが正しい知識を隣人に伝え、妊産婦検診や保健施設での出産を選ぶ人が増えていく。やがてその変化は、ジョイセフがいなくても続くようになります。コミュニティの力で健康と命と権利を守り続けるしくみができたとき、ジョイセフはプロジェクトのバトンを地域に手渡します。

そして、日本へ。

たとえばザンビアの農村部では、陣痛が始まってから、何時間も保健施設まで歩いていく女性たちがいました。 道中で出産して危険な状態に陥ったり、母子が命を落としたりするのは「しかたないこと」と思われていました。

この状況を変えたのが、ジョイセフと住民が力を合わせて建設した「マタニティハウス」です。保健施設に隣接した宿泊施設で、あらかじめ滞在して待機し、陣痛が始まったら安全に出産できる。この建物があるだけで、命が守られるようになりました。

マタニティハウスは他の地域でも望まれ、やがてザンビア全土にマタニティハウスや、女性の命と健康を守る保健施設が集まった「ワンストップサービスサイト」が整備されていきました。近年ではザンビアの好事例はガーナにも伝わり、同国で新たにマタニティハウスが誕生しています。両国をつないだのは、それぞれの現場に根ざして活動するジョイセフでした。

草の根で生まれた変化が、近隣へ、国境を越えて広がっていく。同じことが、日本でも始まろうとしています。地域で包括的性教育を推し進める自治体が現れ、それに力を得た別の自治体の議員が「私たちも」と動き出す。地方議員連盟は前向きな連鎖を生み出すためのネットワークであり、ジョイセフは結び目となります。

SRHRは、特定の誰かの課題ではありません。性に関わることを、自分で決められる。人生のことを、自分で選べる。すべての人に関わる普遍的な権利です。

「自分の性と人生を、自分で決められる世界をつくる」。その実現に向けて、地域から声を上げ、行動していく人たちがいます。ジョイセフは培ってきた知見と経験を生かし、人と人、地域と地域をつなぎながら、ともに歩んでいきます。

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Author

JOICFP
ジョイセフは、すべての人びとが、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利:SRH/R)をはじめ、自らの健康を享受し、尊厳と平等のもとに自己実現できる世界をめざします