GGR:グローバル・ギャグ・ルール(メキシコシティ政策)とは
2021.2.16
メキシコシティで国際人口会議が開催された1984年、共和党のレーガン大統領(当時)が初めて導入したことから「メキシコシティ政策」と名付けられ、通称「グローバル・ギャグ・ルール:Global Gag Rule (GGR)(口封じの世界ルール)」とも呼ばれる米国の開発協力政策。
クリントン政権によって1993年に廃止されたが、以後、共和党と民主党の政権交代に伴い導入と廃止が繰り返されてきた。トランプ前大統領も、就任直後の2017年1月に再導入した。
同政策は、米国国外で、米国の資金援助を受けているNGOなどの組織・団体は、その国で合法でも、
- 人工妊娠中絶手術の実施、
- 中絶に関して医療スタッフが患者に行うカウンセリングや医療機関の紹介、
- 規制を緩和し合法かつ安全な中絶を可能にするよう求める活動
を規制し、これらに資金を使わないことを約束しなければならないとしていた(妊娠の継続が命の危険にかかわる場合、妊娠がレイプ、近親かんによる場合、そのカウンセリングや中絶後のケアは対象とならない)。
さらにトランプ前政権は、GGRによる規制の適用範囲を従来よりも拡大。米国が援助する資金に対してのみ適用された過去の政策と異なり、米国以外からの資金によるものであっても、上記の3項目に関与している団体への資金拠出は全て規制するとしていた。
この規制を受け入れないことによる資金の打ち切りは、国際保健のあらゆる分野に影響し、家族計画、母子保健、栄養、HIV/エイズ、マラリア、結核等の感染症の治療・予防などにもその余波が及んでいた。
最新の動向
2021年1月28日(木)、米国の民主党のジョー・バイデン大統領によって、前政権が2017年1月23日に再導入したメキシコシティ政策(GGR: グローバル・ギャグ・ルール)が撤回されました。
新政権は、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)を含む女性と少女のエンパワーメントと保護を、米国の外交政策と国の安全保障の中心だと位置づける声明を出しました。
GGRの影響については、以下の記事なども合わせてご覧ください。
広報紙 RH+ No.18「2017年、性と生殖に関する健康と権利に迫る危機」
広報紙 RH+ No.19「グローバル・ギャグ・ルールの影響広がる」
広報紙 RH+ No.29「トランプ大統領退陣でグローバル・ギャグ・ルールは撤廃へ」
UNFPAプレスリリース【2021年1月28日 性と生殖に関する健康に取り組む国連人口基金(UNFPA)が米国の資金拠出再開の意向を歓迎:何百万人の女性と少女に恩恵】