「国際女性の日」に願うこと-世界中の女性の健康とエンパワーメントのために

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2012.3.7

「国際女性の日」の意義

今から108年前の1904年3月8日に米国で女性の参政権を求めたデモが行われ、このことを記念して1910年に「女性の政治的自由と平等のためにたたかう」日とするようにドイツで提唱されたことから「国際女性の日」が始まったと伝えられています。今から1世紀以上前、日本の明治時代に女性の参政権を求める運動が巻き上がり、それを記念するために女性の日が設けられたことは大変意義深いことと思います。
しかし、日本の女性が参政権を得るには、それから約40年後の1945年まで待たねばならなかったことは、皆さまもご存知の通りです。現在日本でも、この日に各種のイベントを行う機会も増えてきました。また世界では多くの国々がこの日を祝日としています。日本では、「子どもの日」や「敬老の日」は祝日ですが、女性の日は祝日ではありませんし、いまだこの日の存在さえも知らない人々が多いのではないでしょうか。ちなみに、この日が国連によって正式に「国際女性の日」と定められたのは1975年3月でした。
さて、よい機会ですので、今回は「国際女性の日」を取り上げて、皆さまとその意義について考えてみたいと思います。まずは開発途上国の女性のおかれた現状をみてみます。

開発途上国の女性の現状

途上国の女性をめぐる状況は、高い妊産婦死亡率、望まない妊娠を防ぐために必要な家族計画(避妊)に関する情報やサービスのニーズがいまだに満たされていないことや、HIVなどの性感染症の感染など、改善すべきことが山積しています。世界で妊娠や出産が原因で1日におよそ1000人の女性が命を落としています。年間にすると35万8000人です。また、これらの死亡の99%が開発途上国で起こっていますが、多くが助けられる命であったことはすでに検証されています。
すなわち、「3つの遅れ」が要因だとわかっています。妊産婦に何かが起こった時に医療施設に連れていくかどうかの意志決定の遅れ、そこまでたどり着けつけなかった搬送の遅れ、そして治療、医療ケアの遅れなどによるものです。望まない妊娠を予防する手段を講じることも自分で選択できなかったり、HIVに感染するのも多くが夫からであったり、ここでも女性が被害者となっています。
では、この状況を打開するためにはどうしたらよいのでしょうか。

女性の健康とエンパワーメントのために

わたしたちは、まずは、世界のすべての女性の命が守られ、健康であることを切望します。とりわけ、妊娠や出産が原因で死に至るようなことがあってはならないと強く思います。ジョイセフは、もてる力を世界の女性の命と健康を守るために注いでいきたいと思っています。すべての妊娠が望まれたものであり、すべての出産が安全であり、すべての子どもが健康に育てられる環境をつくることを目指します。また、エイズを含めた性感染症から女性が自らを守るための知識や情報、手段を提供したいと思います。そのために妊産婦や女性の健康や命を守る地域の助産師、医療従事者や保健ボランティア、あるいは母子保健推進員などの育成を図っていきたいと思います。
さらに女性のエンパワーメント(力をつける)も推進します。健康や生活に関する知識や情報を継続的に提供されることにより女性がエンパワーすることは分かっています。また、収入作りなどを通して女性の経済活動への参加も促しています。開発途上国の多くの女性は男性優位社会で暮らしていますが、これらの健康向上、教育向上、経済活動の推進等を通して、女性の地位が向上していくことを強く望んでいます。

「お互いさま」を合言葉に

ジョイセフは、2011年3月11日の東日本大震災の被災地支援を震災直後から実施してきました。世界中から温かいご協力をいただき、被災地の妊産婦や女性及び新生児への支援を、緊急支援物資の提供、義援金(ケショ)による産婦への支援、助産師による妊産婦ケアの提供、産婦人科医による家族計画サービスの提供、保健施設の機材供与、妊産婦や女性のための憩いの場所の設営と運営などを通じて届けてまいりました。
日頃私たちが支援している開発途上国からも被災地への支援が多く届きました。苦しい時は「お互いさま」という思いが世界中にあることも私たちは痛感いたしました。ジョイセフは、被災地への引き続きの支援を行うと同時に、開発途上国への引き続きの協力も、「お互いさま」を合言葉に、さらに推進していきたいと思っています。
「国際女性の日」にジョイセフの思いをお伝えするとともに、みなさまの引き続き温かいご支援ご協力を、世界中の女性の健康とエンパワーメントのために差し伸べていただきますよう心よりお願い申し上げます。
(2012年3月、東京にて)