歯止めのかからないODA削減―日本のリーダーシップへの期待

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2012.3.27

昨年から、東日本大震災や福島第一原発の事故による放射能汚染の影響などを受けて、日本社会全体が言葉に表せない不安感に覆われています。2012年に入ってもなお連日余震や新たな地震が続いており、2012年1月には首都圏で直下型大規模地震の予測も新たに発表され、国民生活に再び不安要素が加味されています。
経済面でも2008年のリーマンショック、また2010年にはギリシャの財政危機から始まった国債への信用不安、ユーロ安、株安、欧州経済全体への危機感などがいまだに漂っています。日本でも歴史始まって以来の円高などを経験し、震災の影響に加えて日本の経済への打撃を受けました。まさに国際社会が連動していることを物語る事象です。さらに経済大国第2位の座も中国に譲りました。日本の国際社会におけるリーダーシップへのかげりが着実に見えてきています。

日本のODAの1997年以来の削減

あわせて、日本のODA削減も2012年度も新たな削減となり、1997年以来、その削減に歯止めがかかっていません。ちなみに、人口分野での任意拠出金についても、かつて国際家族計画連盟(IPPF)や国連人口基金(UNFPA)への、最大拠出国であった日本が、今やそれぞれ、第3位、第8位の拠出国に落ち込んでいて、日本の両機関に対する拠出額はそれぞれ最大時の半分にまで落ち込んでいます。
かつて世界の人口問題やリプロダクティブヘルスの推進に重要な役割を果たしてきた日本は、資金的な支援において、他の先進国が外交的戦略上ODAを維持または増額しているにもかかわらず、日本の減額は国際社会の中での存在感を相対的に下げてしまっています。日本の世界の女性や妊産婦の健康や権利を守る先進国としての役割はまだまだ終わっていません。
国際社会の中で、日本が名誉ある地位を継続的に占めていくことを望みつつ、日本の英断を期待するものです。
(2012年3月、東京)