家族計画にもっと力を!

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2012.8.20

今年は1952年に発足した国際家族計画連盟(IPPF)の60周年記念の年です。IPPFは、今から60年前に、インドのボンベイ(現ムンバイ)で、世界の8人の「勇敢な、怒れる女性(brave and angry women)」たちによって設立されました。アメリカのマーガレット・サンガーさんとともに、日本の加藤シヅエさんが加わっておられたことを、私も日本人として常に誇りに思っています。
しかし、いまでもなお、家族計画のアンメット(未充足)ニーズが満たされていません。今年は、特にそこに焦点が当たっていることを、いまは亡きサンガーさんも加藤さんも、どのように思われるでしょうか。 現在、希望していながら、近代的避妊法にアクセスできない女性が2億2200万人いて、その多くが望まない妊娠を経験し、なお、中絶をしなければならない状況であるとしたら、そして、そのために命を落としていたとしたら、そう考えれば、パイオニアたちがコミットした使命は未だに終わっていないことになります。
家族計画という手段にいつでも、誰でもアクセスできるとしたら、これらの問題は解決できますし、それに社会的文化的問題を乗り越えて、すべての女性が「自己決定権」を持ち、子どもをいつ何人持つかを自らで決められて、女性は命を失わずにすむばかりか、社会生活における選択肢も広がり、あらゆる意味での機会も増えると言えます。さらには、女性がエンパワーできることにより、人類の半分である女性が、さらに社会に貢献できることの意義は大きいはずです。
少ない投資(家族計画のアクセスへの投資)で多くの成果を得られるということは、グッドマッハー研究所やUNFPA等のさまざまな調査研究で明らかになっています。家族計画は、女性の命を守り健康を増進し、社会的参加の機会を増やし、それは貧困削減にもつながって、さらに国の発展にも貢献すると言われています。これほどの小さな投資が産む成果は大きいのです。
これらを満たすことで、1年で、約5500万件の「意図しない妊娠」や、約12万件の妊産婦死亡を防ぐことができると試算されています。他にも、

  • 1年に2600万件の中絶が予防できる。これには1600万件の安全でない中絶が含まれる。
  • 2100万の計画外出産を防ぐことができる。
  • 700万件の流産を予防できる。
  • 110万人の乳児死亡を削減できる。

わたしたちジョイセフは、国連機関や国際機関、多くのNGOと共に、2012年を「家族計画の復権」の年にしようと努力しています。パイオニアの女性たちの意志を引き継ぐものとして、まだまだ緊張感を緩めるわけにはいきません。支援して下さる多くの皆さまと共に、世界の女性の健康とエンパワーメントのためにさらに尽力する所存です。
今年2012年はIPPF60周年、2013年は第5回アフリカ開発会議、2014年は国際人口開発会議(ICPD)から20周年の年、2015年はミレニアム開発目標15周年と、モメンタムは続きます。繰り返し、「家族計画の復権」を訴えてまいります。どうぞよろしくご支援ください。
(2012年8月、東京にて)