ミャンマーへの投資 -ミレニアム開発目標No.5-妊産婦の健康の改善

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2013.6.25

2000年に世界の国々が設定した8つのミレニアム開発目標(MDGs)の達成期限は2015年です。その中でも達成が最も難しいとされてきたNo.5(妊産婦の健康の改善)は、国によりはっきりと明暗が分かれています。たとえば、マレーシアは、先日開催のウィメン・デリバーの国際会議で、堂々と目標達成を発表しました。1990年時点の妊産婦死亡率を2015年までに4分の3削減するという目標を達成したのです。マレーシアの努力には心からの敬意を表したいと思います。一方、多くの国々がいまだに達成できていないのも、また事実です。2015年以降それらの国々の挑戦は続きます。
同じくアセアン諸国の中のミャンマーでは、妊産婦死亡率は、現在、出生10万対200。MDGsによる2015年までの目標値145の到達に向けた継続的な取り組みが必要です(UNFPA「世界人口白書2012」)が、2015年までの達成が危ぶまれています。
報告によれば、ミャンマーの妊産婦死亡の62%は家庭で、14%は搬送中に起きています(2012)。そして妊産婦死亡全体の80%を占める農村部においては、妊産婦が必要な情報とサービス(産前産後健診・専門技能者の介助による出産・緊急時の搬送等)を適切なタイミングで受けられるようにするための、地域ぐるみの取り組み、保健サービスと地域住民を繋ぐための体制づくりが必須であると指摘されています。合わせて、リファーラル病院の治療ケアの充実も喫緊の課題です。
ミャンマーでは、5280万人(2012年国連人口部推計)が日本の国土の1.5倍の面積68万平方キロメートルに住んでいます。高い識字率(92.3%「人間開発報告書」2013年)を誇り、優秀な国民・人材を抱えており、今後の経済的な発展や投資先として熱い視線が注がれています。しかし、一方では、女性の健康指標である妊産婦死亡率等の保健関連データでは、改善すべき点が多いのも否めません。
民主化、経済発展、資本投資と併せて、今、ミャンマーに必要とされているのは、国民の健康へのさらなる投資ではないでしょうか。とりわけ、妊産婦をはじめとした女性と新生児への投資は、どのような政権であろうとも、惜しみなく提供してほしいと強く思います。              
(2013年6月、東京にて)