国際人口開発会議(ICPD)から20年:リプロダクティブヘルス・ライツの原点

  • お知らせ
  • ジョイセフコラム

2014.1.20

今から20年前の1994年9月に、エジプトのカイロで開催された国際人口開発会議(International Conference on Population and Development : ICPD)では、人権問題への国際的な高まりを反映して、人口問題のとらえ方が人権アプローチに「パラダイム転換」された。この会議で、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(RH/R)の保証や女性のエンパワーメントの推進が全面的に取り上げられた行動計画が、179カ国によって採択された。その後、ミクロの視点やジェンダーの視点が多くの国々で主流となる切っ掛けともなった歴史的な会議であった。
当時、女性の解放を生涯訴え続けた日本の加藤シヅエ氏や、一人ひとりの健康推進を一生の運動としていた國井長次郎氏は、1994年の行動計画を高く称賛。加藤氏は「ここまで来るのに80年もかかりました」とよく言っていた。これはサンガー氏が始めた自己決定権としての家族計画が、各国政府によって改めて承認された画期的な会議であったからである。
そして、この20年間に行動計画はどこまで進展したのか、われわれの目標は達成できたのかなどを検討するのが今年の年間の大きなテーマとなる。来る9月には国連特別総会にて、「ICPD+20」がテーマとなり検証される。妊産婦死亡率の削減、RHへの普遍的なアクセスなど、その後のMDGsで継承された、多くの課題が依然として残されているのが現実である。まだまだ取り残されたことが山積している。また、国や地域によって違うが、サハラ以南のアフリカ地域や南アジア地域では、目標の達成度合いで相当遅れていると言われている。
今から15年前の1999年に、世界人口が60億人になった時の「世界人口白書1999:世界人口60億人―選択の時」で、次のことが享受できる世界を希求しているので改めて振り返ってみたい。
白書は、60億人の世界を迎えるにあたり、次のことが享受できる世界を求める、として、以下の9項目を挙げている。

  1. すべての新生児が、健康な妊娠期間を過ごした母親から生まれる。
  2. すべての乳児が、適切な食事を与えられ。予防接種が受けられる。
  3. すべての女児が、より良い栄養を摂取し、また、よりよい保健ケアや教育を受ける。
  4. すべての若い女性が、HIV感染から身を守ることができる。
  5. すべての女性が、妊娠の間隔をあけることができる。
  6. すべての男性が自分と家族のウェルビーイング(福利)を守る責任があるということを受け入れる。
  7. すべての高齢者が、若いときから自分の健康を守っている。
  8. すべての人が、正しい情報を得て、責任ある行動をとることによって健康リスクを回避できる。
  9. すべての人が、自分の人生の重要な決定について、選択肢を持ち、自ら決めることができる。

そして、この白書発表の翌年2000年には、これらの思いが受け継がれ、MDGs(ミレニアム開発目標)のとりわけ健康指標等にも活かされた。
1994年から20年目の今年2014年。私たちは再度「原点」に立ち返り、家族計画運動のパイオニアたちのスピリットからさらに学び、今後につなげていきたい。
(2014年1月、東京にて)