東日本大震災と被災高齢者:調査報告会に参加して

2014年2月6日

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先日、東日本大震災の被災高齢者を対象に行った調査「世界の高齢者支援の向上と発展~世界の災害に備えて~」の報告会に参加する機会を得ました。
国際NGOであるヘルプエイジ・インターナショナルと日本赤十字社人道研究センターが共同で、東日本大震災が高齢者の生活に与えた影響について調査。被災時の高齢者の体験とその後のニーズを分析したものです。
本調査は、岩手県宮古市と宮城県石巻市で実施。
パイロット調査が2012年10月~2012年11月、質問票による調査が2012年12月~2013年3月に行われました。60歳以上の被災高齢者を、60歳から74歳と75歳以上の2つのグループに分けて実施しました。
報告によると、被災前の人口年齢構成で60歳以上が約30%であったが、この年齢層が震災死亡全体の約60%を超えています。高齢者が他の年齢層と比べ被害にあっている割合の高かったことが判明しました。
調査対象者の約30%が自己避難をしましたが、歩くのが遅かったり、避難所がどこかなどの情報不足であったり、避難指示のスピーカーの音が聞こえなかったり、また、何を持っていっていいのかが分からず、中には、危険を顧みず、改めて一旦自宅に戻ったケースもあったことが分かりました。
避難時に役立ったことは、過去の知恵「津波デンデンコ(過去の津波のわらべ歌)」、隣人の呼びかけ、直前にあった津波の避難訓練の体験などでした。
困ったこととしては、「健康支援不足」、「自分の薬の調達」、「トイレのこと」などが挙げられました。調査時点で、すでに震災から14カ月が経過していましたが、「復興住宅」に移転を希望しても、未だに移転できていないかたがたも多いようです。2013年12月時点で、58%の被災高齢者が依然として仮設住宅に入っています(神戸淡路大震災の時は最後の人が仮設から出たのが16年後のことだったことを考えると、この地域の移転や退去の遅れは相当の数となることが予測できます)。
また、「避難後も他者との交流が難しい」、「毎日することがない」、「失職」、「健康状態の悪化(動く機会が減った分、足腰が弱った)」などの現状が浮き彫りになっています。
被災した男性の方が、孤独感を女性より強く感じているようで、引きこもりのケースも多かったとの報告がありました。女性はいろいろなイベントや活動に積極的に参加していることも分かりました。知らない人と打ち解けることが難しいと思われる男性の孤立を防ぐことが課題です。居場所づくりや社会的役割を持ってもらうなどの外部からの積極的な介入が必要です。
これらの状況以外に、多くのことが分析されていますが、この報告書の内容は、日本のみならず、世界のどの国や地域においても、被災した高齢者への対応の教訓や参考として役立つと考えます。
震災から3年近くが経過しましたが、いまだに癒されていない方々は依然として多く、とりわけ、高齢者の社会復帰が、他のグループと比べると、遅くなっていることが大変気になったところでした。高齢者の知恵や経験が生かせる道を模索する必要があるのではないかと痛感しました。
(2014年2月、東京にて)

「世界の高齢者支援の向上と発展~世界の災害に備えて~」和文・英文報告書表紙

「世界の高齢者支援の向上と発展~世界の災害に備えて~」和文・英文報告書表紙

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