「国際助産師の日」に向けて

  • お知らせ

2014.5.14

20140505

5月5日は「国際助産師の日」です。国連で定められたものではありませんが、国際助産師連盟は1992年以来、この日を国際助産師の日として、その業務の重要性について世界中の意識を高めるべく活動しています。

ザンビアの助産師

ザンビア ムタバ村でたったひとりの助産師

公益財団法人ジョイセフは1968年の設立以来、開発途上国の女性と妊産婦の命と健康を守る仕事をしてきました。2014年の5月6日に発表された新しい数字では、世界中で、妊娠・出産が原因で命を落とす女性は今なお28万9000人、その99%は途上国で起きています。
ジョイセフがプロジェクトを実施している国のひとつ、アフリカのザンビア共和国では、日本の50倍近い割合で、女性たちが妊娠・出産が原因で命を落としているのです。助産師を含む専門医療技術者による出産介助はまだ全体の50%に達していません。農村の女性たちが安心できる出産環境を整えるためには、助産師の存在が欠かせないのですが、その助産師も圧倒的に不足しています。
医師の養成よりは経費も時間も少なくて済む、と同時に、農村での定着率も高い助産師の教育・訓練を日本のODAで積極的に支援してほしいと願っています。

33年前、国際協力NGOであるジョイセフが創立43年目で、初めての国内支援を決めた東日本大震災においても、授乳、夜泣き、走り回る子どもたちの声などを気にして、いち早く避難所からいなくなってしまった母子を把握し、刻々と変わるニーズをジョイセフに報告してくれたのは被災地の助産師たちでした。自らも被災した助産師たちの献身的な働きで、ジョイセフの女性、妊産婦に対する支援物資も、必要なものが必要な時に届けられました。1~2リットルしかガソリンが買えない中で、一人でも多くの妊産婦や新生児たちに届けようと車を走らせてくれました。家族や家をなくした母親たちがストレスから母乳が出なくなると、乳房をマッサージしながら話を聞き、赤ちゃんの発育をチェックし、「大丈夫、順調だよ」と一言励ます―多くの母親たちがこの励ましの声で救われたと聞きます。福島県では母親から人工栄養に切り替えるために、あふれ出る母乳を止める方法を教えてほしいと頼まれたと涙する助産師もいました。

4健康とは単に身体的に病気でないというだけではありません。寄り添いながら、心身ともに女性と妊産婦の健康を守る助産師の存在は、子どもを産み育てる過程で、女性たちが受けるストレスを緩和してくれます。日本において家庭医の配置が検討されている中、助産師の配置と積極的な活用を提案したいと思います。助産師の存在は、子どもの虐待の早期発見、防止につなげることができます。「もう一人産んでも大丈夫かな」。ベテランの助産師に一人目の子どもを取り上げてもらったジョイセフのスタッフの言葉です。助産師の活動と役割についての認知普及を図るとともに、国際助産師の日に改めて、助産師の活動に感謝したいと思います。

ジョイセフ代表理事
石井澄江