エボラ出血熱の影響を受ける妊産婦の生命

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2015.1.8

エボラ出血熱の蔓延の報道が多く取り上げられています。エボラ出血熱は、現在のところ、特効薬がなく、予防・治療とも対策の進捗がかんばしくありません。
エボラ出血熱は、ある特定の地域の感染症から、世界的な広がりを持つパンデミック(世界的流行病)としてWHOは宣言しています。

西アフリカのリベリア、シエラレオネ、ギニアの3カ国をはじめとして、ナイジェリア、コンゴ、マリ等へ広まり、あわせて、国際的に移動する人々が他の地域や国々にエボラを拡散するのではないかと心配されています。

私たちは、エボラ出血熱の蔓延により、多くの医療従事者が感染し、また、医療施設が使えなくなり、通常の医療ケア活動が行われなくなっていることに注目しなければなりません。実は、国連人口基金は、エボラの影響で、今後1年間に、少なくとも西アフリカの3カ国では、約80万人が妊娠・出産に至り、産科ケアを受けられない妊産婦が12万人に上るであろうという推計を、2014年11月21日に発表しています。

3カ国は、医師や看護師、助産師等の医療従事者が少なく、医療システムが脆弱で、それでなくとも、産科ケアも含めての業務が十分できていないところに、エボラの影響が重なり二重苦の状況になっています。また、一旦エボラ出血熱が発生し、患者が運び込まれると、地域の人々が医療施設に近寄らなくなるという現象も起こっていて、医療そのものの信頼性が減速しています。あわせて、現状ではエボラの対策は患者の「隔離」が中心であり、回復も難しいと言うのが、アフリカ地域では現状と言わざるを得ません。

そのためにもエボラ出血熱の早急な対策や、それと合わせて、妊産婦の命を守る支援がさらに緊急に求められます。このようなときにこそ、国連をはじめ各国政府、NGOは連携して、妊産婦の命を守る活動にさらに積極的に取り組まなければならないと考えます。

今こそ、エボラ出血熱により機能不全に陥っている医療施設や医療従事者への支援が強く求められています。

(2015年1月 東京にて)