政府開発援助(ODA)大綱の改定を考える

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2015.3.17

1992年に最初のODA大綱が閣議決定され、2003年に一度改定された大綱が、再び12年の時を経て、今度は日本語名も「開発協力大綱」と変えて、2015年2月10日に閣議決定されました。
この大綱は、日本政府の開発援助の理念や原則などを明確にするために策定し、日本のODAの基本的な考え方や進め方などを示すものです。外務省の説明で見直しの背景としているところで、懸念されるのは、今までの通り民生目的や災害援助などの非軍事的目的に限りと明言しながらも、軍への支援援助を認める方針を打ち出しているところです。
ODAの基本精神は、軍事的な支援援助でなく、あくまでも平和主義や人道主義のもとで推進するものでなければならないと考えます。それが、ODAの基本概念形成の段階から多くの国々が採用してきた考え方であったと思うからです。また、私どもNGOにとっても、そのことが長年、日本のODAの誇れるところであったと信じています。
いま、その開発協力大綱(ODA大綱)が改定されるにあたって、日本の国益と集団的自衛権の影響を強く受けた大綱に様変わりすることへの不安を感じるのは、私だけではないと考えます。また、改定について国民的議論も広く行われたとは思えませんし、かなり政治的主導で進んきた感さえ覚えます。
軍事大国にならないと銘打っている日本として、そして戦後70年という大切な年に、異なる方向に舵を切るかのような大綱の改定が行われるのではないかと、海外からの懸念も示されています。ましてや、ODAを使って、他国の軍隊への援助はあってはなりません。あくまでも平和主義、人道主義のもとに行われなければならないと考えます。
私たちも、「開発協力大綱―平和、?栄、そして、一人ひとりのより良き未来のために―」の今後の運用をしっかりと見守っていきたいと思います。
(2015年3月、東京にて)