高齢化社会の普遍的な課題 :『世界アルツハイマー病報告2015』発表

2015年10月8日

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世界的に高齢化問題が大きな課題となってきています。
その中でもアルツハイマーの課題は国境を越えた普遍性をもってその深刻さを増しています。最近発表された報告書をもとに考えてみたいと思います。
アルツハイマー病インターナショナル(ADI)によると、現在、世界では60歳以上のいわゆる高齢者(国連では60歳以上を指す)の人口が9億人を超えています。高齢者は2015年~2050年の間には、高所得国で56%、高中所得国で138%、低中所得国で185%増え、低所得国では239%増加すると推計されています。平均寿命が延伸することにより、認知症を含めた慢性疾患の発症率も高くなると考えられます。

認知症は世界的な兆候

2015年現在、世界で認知症と共に生きる人々は4680万人と推計されています。そして20年ごとにほぼ倍増していくことも予測されています。2030年には7470万人に、2050年には1億3150万人となります。新しい推計値は『世界アルツハイマー病報告2009』時点の12~13%増となります。
認知症と共に生きる人々の58%が世界銀行による低あるいは中所得国に暮らしています。そして、その割合は2030年には63%、2050年には68%になると推計されています。

毎年990万人増

報告書によると2015年に世界で認知症の新たなケースが990万人増加し、それは、3.2秒に1人の割合で増えていることになります。2010年時点よりも30%も高い増加率を示しています。2012年に世界保健機関(WHO)は、認知症を公衆衛生の優先課題であるとしました。
地域別に割ると、アジア地域で490万人(全体の49%)、アメリカ大陸で170万人(18%)、アフリカで80万人(8%)です。

直接的な医療費、社会ケアコスト、インフォーマルケアコストへの負担

報告書では、認知症の人を抱えると、上記のような負担があると指摘しています。
直接的な医療費、直接的な社会ケアコスト(専門家による家庭でのケア、自宅や施設でのケアを含む)、そして実際に支払われないが家庭でのケアコスト、などが挙げられます。これを試算して、認知症に関するグローバルコスト(世界全体で認知症にかけるコスト)は、2010年の6040億米ドルが2015年には8180億米ドルと、わずか5年で35.4%の増加となります。8180億米ドルは世界のGDPの1.09%と推計できます。
内訳として、直接的な医療費は、全体の約20%、社会ケアやインフォーマルケアで40%と試算される。インフォーマルで大きいのがアフリカ諸国であり、最も低いのが北アメリカ、西欧、南アメリカで逆転します。

グローバルアクションとして

これらの現状を踏まえて、ADIでは、G7による「認知症へのグローバルアクション」の呼びかけを提唱しています。認知症を共通の課題として、世界が共に取り組む時代に入っています。
日本は、その中でも、真剣に取り組んでいる国と位置付けられていますが、さらに世界と協調して進むべき時が来ているのではないでしょうか。日本は最も高い比率で高齢人口を抱えています。日本では国内の課題としての取り組みもさることながら、国際協力の観点からも、予防、治療、ケア、あるいは認知症と共に生きる社会づくりなどの分野での好事例の紹介が期待されています。
なお、報告書(World Alzheimer Report 2015: The Global Impact of Dementia- An Analysis of Prevalence, Incidence, Cost and Trends-)は、インターネットで詳しく見ることができます(www.alz.co.uk/worldreport2015)。

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