アフリカの児童婚:2050年までに2倍の3億人に増加する

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2016.4.28

2015年11月にザンビアの首都ルサカで、児童婚の根絶を目指すアフリカ連合(AU)の「Ending Child Marriage in Africa」(アフリカにおける児童婚終焉を)の初会合が開催され、会合の中で今後のアフリカにおける児童婚の推計が公表されました。その内容は驚くもので、今のままであれば、児童婚は減るどころか増加すると予測しています。これには多くの関係国や関係機関も驚きを隠せなかったと報道されました。

国連児童基金(ユニセフ)の推計では、アフリカでの「児童婚」(18歳未満で結婚する女児の数で表す)は、今後、何らの適切な対策やアクションが取られなかった場合、2050年までに現在の2倍以上の3億人を上回る見通しであると、警鐘を鳴らしています。

初経からなるべく短い期間での結婚が慣習化されている歴史的文化的な背景や、女性の高等教育への認識が低い社会の場合や、娘を育てるための親の経済的負担の軽減や財産分与などさまざまな理由や背景があると指摘されています。

世界女性会議や女性の人権を考える多くの国連会議でも、女性の婚姻年齢18歳以上の法的な措置は多くの国で採用されています。しかし、日本のように男子が18歳、女子が16歳で、条件次第では、女子は16歳で婚姻が可能という国も依然として多数あります。

早婚によって得るものよりも失うものの方が多いと考えている女性は多数いると考えられます。教育、雇用、経済活動、社会的活動などの機会等を失っているのです。人生の選択肢が、結婚しかないような状況に女性が追いやられ、子どもを産むことが女性の仕事であると考える文化的社会的背景を持った国々が依然として多いことを物語っているのではないでしょうか。

いま、法律のみならず、女性の未来にとってよりよい価値があるという意識改革や行動変容が求められています。健康や教育を享受できることは当然と考える世界が1日も早く訪れることを、どの国の政府も、立法府も、マスメディアも、一般社会も考え、実行できる社会をつくっていかなければならないと強く訴えたいと思います。

(ジョイセフ常務理事 鈴木良一 2016年4月、東京にて)