世界の難民・国内避難民、亡命申請者6530万人に、第2次世界大戦後最大

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2016.7.14

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は「世界難民の日」の2016年6月20日に難民、国内避難民等に関する年次報告書を発表しました。

それによりますと、2015年末現在で、世界の難民、国内避難民、亡命申請者からなる「避難を余儀なくされた人々」の合計数は世界で約6530万人に達し、第2次世界大戦後最多を記録したと報告されています。難民・避難民等の人口が6000万人を超えたのは歴史上初めてです。国内の紛争や迫害が多くの国々や地域で多発しており、世界規模の難民・避難民の増加にさらに拍車をかけていると分析されています。

内訳は難民約2130万人、国内避難民約4080万人、亡命申請者約320万人。

  • 難民

    約2130万人

  • 国内避難民

    約4080万人

  • 亡命申請者

    約320万人

全体で前年と比べ約580万人の増加です。また、1996年に約3730万人だった総数が、この20年間で1.75倍となり、近年では2011年に約4250万人を記録してから毎年増加が続いていると報告書は述べています。
現在の約73億4900万人の世界人口のうち、113人に1人が難民か避難民という計算になります。UNHCRは、難民・避難民の総数が規模としては英国やフランスの総人口を超えている現実を指摘し「これほどの危機の前例はない」との認識を示しました。グランディ難民高等弁務官は「避難した人々の声が(政治)指導者たちに届くように望む。(主要原因である)紛争を止める政治的な行動が必要だ」と訴えています。
難民が発生している国や地域は、発生数の多い順に、
①パレスチナ(520万人)、②シリア(490万人)、③アフガニスタン(270万人)、④ソマリア(110万人)などです。

  • パレスチナ

    520万人

  • シリア

    490万人

  • アフガニスタン

    270万人

  • ソマリア

    110万人

特にシリアの難民は、250万人を受け入れているトルコや、レバノン、ヨルダンなどへ流入していると報告されています。アフガニスタンからはパキスタンとイランなどへ、ソマリアはエチオピア、ケニア、イエメンなどで、移動先は周辺国や地域が多数になっています。

一方、国内避難民の多いのは、
①コロンビア(690万人)、②シリア(660万人)、③イラク(440万人)、④スーダン(320万人)、⑤イエメン(250万人)、⑥ナイジェリア(220万人)などです。

  • コロンビア

    690万人

  • シリア

    660万人

  • イラク

    440万人

  • スーダン

    320万人

  • イエメン

    250万人

  • ナイジェリア

    220万人

とくに、弱い立場の女性や子どもが支援を最も待ち望んでいると報告されています。

日本でも難民や移民に関するさらなる議論の場づくりが必要です

難民のニュースが取り上げられない日がないくらい多くの難民が世界中に拡散しています。EU諸国の難民の受け入れについての国々の反応はさまざまで、私たちにとっても身近なニュースとなっています。しかし、いまだに日本人にとっては、「対岸の火事」という感じのようにも見えます。事実日本は難民の受け入れに最も難しい国の一つとしても認識されています。
日本では、難民のみならず移民の受け入れや支援・援助に関する国民的議論やコンセンサスづくりがいまだにできていません。また政策づくりに関連するアドボカシー活動もさらに遅れていると言わざるを得ません。
日本の立法府での政策立案についての議論が少ないように思います。英国のEU離脱問題の課題の一つが移民や難民の受け入れでした。英国の経験も踏まえて、日本においても、さらなる議論の場づくりが必要だと思います。

(ジョイセフ常務理事 鈴木良一、2016年7月、東京にて)