韓国の深刻な少子化問題

2016年8月9日

  • お知らせ
  • ジョイセフコラム

韓国の少子化問題

隣国韓国の少子化問題が最近話題となっています。
自国の少子化対策の強化のために、同様の人口現象を抱えている日本を視察研究にやってくる、韓国からの政府、NGO、メディアなどの関係者の受け入れがジョイセフでも増えています。

現在4950万人の韓国、「2750年に韓国人が消滅する?」

韓国では、2年前の2014年に国会が「2750年に韓国人が消滅する?」と試算し注目を集めました。韓国はこのような極端な少子化の背景から自らを「人口消滅国家第1号」になると公表したのです。また、今年2016年3月には、韓国雇用情報院の人口推計予測が発表され、今後「消滅する」地方自治体名を発表しました。調査によると30年以内に消滅する都市が代表的な地方自治体230のうち79都市に上るとしています。予測の根拠は、日本でも2014年5月に日本創成会議が発表した「消滅可能性都市」と同じような方法が使われたようです。日本の896市町村が消滅可能性都市として発表されたのは記憶に新しいところです。根拠は出産適齢期とされる20歳~39歳の女性の人口の推移です。すなわちこの世代の女性が減少すれば出生力が落ちるという根拠です。

低下する合計特殊出生率1.25

韓国の合計特殊出生率(女性が生涯に産む平均子ども数)が2014年には1.25と世界的に見ても低い数値にありました(これは世界の国・地域224の中で220位)。アジア諸国には、出生率がさらに低い国や地域が存在します。たとえば、香港(TFR1.17)、台湾(同1.11)、マカオ(同0.93)、シンガポール(同0.80)などです(数値はWorld Fact Book 2014)。日本は同じデータで1.46でした。

総人口が4950万人(2014年)の韓国は、「人口5千万人」を維持したいと公表しています。人口の確保が大きな目標であり、これは人口政策です。保健や家族政策は、そのもとでの各論となっています。本来であれば、女性が子どもを産まない理由や、産めない状況をさらに的確にとらえた女性の自己決定権を支援する政策立案が必要であると考えます。単純に人口増強策が前面に出る政策では、人権の視点やリプロダクティブヘルス/ライツの観点から矛盾することになると言わざるを得ません。

かつて韓国で家族計画を実施していた大韓家族計画協会(PPFK)も「家族計画」という名称を組織名から削除し、現在は韓国人口保健福祉協会(KoPHWA)へと変更。政府の推進している少子化対策への取り組みにどのように貢献するかということが目標になっています。

有効な少子化対策が見つからない:日韓の研究の共有が重要

また、韓国政府は、出生奨励策として、新婚カップルへの住宅支援、青年の雇用創出事業、不妊治療支援などを行っていますが、2006年からの10年間で目に見える効果はなかったと分析されています。また韓国では、社会的な格差が顕著になってきていると分析する専門家もいます。受験戦争、徴兵制度、大卒の就職難、若者の結婚や子どもを産み育てる社会的・経済的なメリットの減少、結婚への意欲の低下や結婚をあきらめる若者たちが増えるという社会現象も少子化にさらに拍車をかけていると考えられます。

現在の朴槿恵(パク・クネ)政権にとって、少子化対策は重要な課題となっています。2018年2月までの5年間の任期終了までに、どのような少子化対策が出てくるのかは、私たち日本からも関心が高い話題になると思います。また、このような観点からも日韓両国での情報交換や研究共有が今後ますます重要となってくるとも考えます。

(ジョイセフ常務理事 鈴木良一、2016年8月、東京にて)

↑

寄付する

×閉じる