ミャンマーでは今 - 教育と保健で次世代のエンパワーメント

2016年9月29日

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「アジア最後」のフロンティア

2015年11月8日の総選挙によって、アウンサン・スーチー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が全議席の6割近くを占めて圧勝し「新生ミャンマー」が始動しました。そして2016年の3月30日、NLDのティン・チョウ氏が大統領に就任し、新政権が発足しています。しかし、国際社会は新大統領よりも、国家最高顧問、外務大臣、大統領府大臣として要職を兼務し実権をもつ71歳のアウンサン・スーチー氏の動向に多くの注目が集まっています。

また、新生ミャンマーを、世界は経済・投資面で「アジア最後」のフロンティアと呼んでいることも周知の通りです。日本政府もミャンマーとの関係を強化しています。9月には、貧困対策、地方・農村開発、鉄道、水道、配電等の支援協力で1250億円の円借款供与の発表もありました。あわせて日本企業の進出や投資も多く、ミャンマーは今、あらゆる面で「沸騰」しています。

約5390万人の人口(世界人口白書2015)を抱えるミャンマーは、以前から識字レベルも高く、真摯な国民性をもっていると評価されています。「生産人口」としても巨大な「消費人口」としても大きな可能性を持っていると言えます。また今後、多方面にわたり海外からの経済のみならず社会開発分野への「投資」により、さらなる発展が期待できます。約7割の農村人口の生活も変わっていくでしょう。

教育改革元年

ミャンマーは2016年を「教育改革元年」と位置づけています。今まで小中高11年であったものを1年間延長して12年間にすることにより、教育の充実を図り、今後、教育立国としてのさらなる高みを目指します。5年後10年後のミャンマーの国民、とりわけ、若い世代がさらに教育によってエンパワー(能力強化)されることが期待されます。いわゆる今後労働市場も活性化し雇用も促進され、近い将来「人口ボーナス」を享受できる可能性が高まっていくでしょう。

保健がもう一つのプライオリティー

新政権発足時から注目されているのが、ミャンマーのユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)構想です。これはミャンマー政府がコミットしている、「全ての人びとの健康推進政策」の強化です。これにより、全ての国民が適正な支出で質の高い保健医療サービスが受けられるようになると構想しています。ミャンマーは、依然としてASEAN10カ国の中で、乳児死亡率(出生千対40、2015年国連機関)、妊産婦死亡率(出生10万対178、2015年国連機関)も高く、低位グループの状況に甘んじています。乳幼児と妊産婦の保健や栄養の改善が喫緊の課題となっているのです。

教育と保健の統合は「言うは易く行うは難し」と言われています。前政権では予算が大きな比率で国防費に取られてしまい、国民の資質向上への投資が置き去りになっていたことも事実です。今後は新政権のもと保健分野では医療ケア(治療)と公衆衛生(予防)のバランスのとれた向上を目指していきます。農村地域の母子保健活動はさらに強化されなければならない分野であると思います。サービスの地域格差の是正を行っていくことが課題となります。

日本への熱い期待

政治的混乱から脱却したミャンマーでは、教育と保健の両面から若い世代のエンパワーメントが行われるとともに、社会経済活動が促進されて、さらに発展できる国へと変貌していくでしょう。

日本からの支援協力への期待も大きく、ハード・ソフト両面からの積極的なアプローチが望まれています。現場に立つと、ミャンマーの人びとからの日本への期待が大変熱いものがあることを実感できます。私たちジョイセフもその期待に応えていきたいと思っています。

(ジョイセフ常務理事 鈴木良一 2016年9月、東京にて)

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