日本:2016年HIV感染に気づいていない人が5800人を超える

2017年4月19日

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  • ジョイセフコラム

日本に、HIV感染の新たな脅威が迫っています。
日本の2016年のHIV感染者数合計は2万2971人とされていましたが、厚生労働省の研究班の推計では、2万8300人を上回ると報告されています。そして、この中に気づかないで感染している新たな感染者5800人が含まれると報告されました。

5人に1人が感染に気づいていない

研究班によりますと、推計総数のうち、5人に1人に当たるおよそ5800人が検査を受けていないために、感染に気づいていないと見られるということです。

研究代表者で、北海道大学大学院医学研究科の西浦博教授によると「感染に気付いていない人は、予防をせずに性行為などをしてしまうため、他人を感染させてしまうリスクが高い。早急に対策をとらないと、感染の拡大が進むおそれがある」と指摘しています。

厚生労働省は、検査体制を強化するとともに、感染に心当たりがある場合は定期的に検査を受けるよう呼びかけています。
また、報告によればHIVは、性行為によって感染するケースがほとんどで、同性間の性行為による感染が67%を占めた一方、異性間の性行為による感染も20%に上っています。

HIVに感染してからエイズ=後天性免疫不全症候群を発症するまでは数年から10年ほどの潜伏期間があり、自覚症状がほとんどないため、その間の性交渉により感染がさらに広がるおそれがあるとも懸念されます。

HIV検査数の減少、検査体制の強化が望まれる

一方、全国の保健所で行われている検査数は減少傾向が続いています。2016年は11万7800件と、ピークだった10年前より6万件ほど減っています。検査が普及しない背景には、対面での検査に心理的な抵抗を感じる人が多いことや、検査できる日と時間が限られるため、利用しにくいという指摘などがあります。

こうした中、検査キットを購入し、検体を民間の検査機関に送る「郵送検査」の利用が広がり、厚生労働省の研究班によりますと、2015年1年間の検査件数はおよそ8万6000件に上っています。しかし、利用者が自分で採血することなどから、保健所などでの検査に比べると精度が高いとは言えないうえ、陽性と診断された患者を確実に医療機関につなげる仕組みがないことが課題となっています。厚生労働省は今後、民間の検査機関向けの指針を作るなどして、検査体制の整備を進めることにしています。

現在、HIVのみならず、梅毒の感染の急増も懸念されており、性行為時のコンドームの使用が奨励されます。自分とパートナーの命や健康を守ることを考えるべきであり、行動変容キャンペーンもさらに強化してほしいと考えます。

(公益財団法人ジョイセフ 常務理事 鈴木良一、2017年4月、東京にて)

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