トランプ政権2018年度予算案をみる: 国際支援、環境対策予算大幅削減、しかし、軍事費関連は増額

2017年4月30日

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  • ジョイセフコラム

2017年1月に就任したトランプ大統領は、アメリカ合衆国の既存のあらゆる政策に、「トランプ流」を明らかにしてきています。グローバルギャグルール(メキシコシティ政策)の話はご存知の通りで、私たちのSRH/R分野のパートナー機関である国連人口基金(UNFPA)や国際家族計画連盟(IPPF)への米国からの拠出金は「ゼロ」となっています。よって向こう4年間は米国からの資金なしで、世界のSRH/Rを動かしていかなければならない状況となっています。

議会の承認なしには実現しませんが、今後の推移を見守りたいと思います。現時点で予算案を見ますと、上記以外にも米国の国際支援や国際保健政策への予算が、押し並べて削減されることになっています。たとえば、国際支援や国連本部・国連機関への支援の大幅な削減です。具体的な削減数値が見えない機関もありますが、判明しているところだけでも、USAIDの28%減、アフリカ開発基金は廃止、環境関係ではグリーン・クライメット基金が廃止、難民支援も廃止、世界銀行への拠出金の35%減、保健研究機関の予算も全面的にカットされる予定です。国連の米国の分担金割合22%が見直され、削減の対象になるのではないかとも考えられます。

米国の省庁関係の予算削減も著しく、環境局が31.4%減、国務省が28.7%減などです。
一方、大幅な増額を予定しているのが、国防、安全保障、退役軍人関連経費などです。

ひとことで言えば、前政権のオバマ政権が8年間進めてきた、国際的な平和ソフト支援、軍縮政策や環境政策が今後崩壊の危機に瀕しています。米国の国際的な「ソフトパワー」におけるリーダーシップを完全に喪失することになります。逆に軍事関連は強化され、軍備、武力を前面に出した「強いアメリカ」「ハードパワー」に回帰していくことになり、世界の平和への歩みはさらに悪化することが視野に入ってきました。また米国が経費を削減することにより国連を中心に行われてきた国連外交や国連システムの弱体化が今後さらに進むことは間違いありません。

この傾向に歯止めをかけることができるとすれば、かつてはヨーロッパ諸国でしたが、今、英国のEU離脱が予定されており、難民・避難民問題では、他のEU諸国にも過度な国益主義が台頭してきており、先行きは決して明るくはありません。すでに「違う時代」に入ったと分析する人もいます。

このような状況の下で、日本に求められる国際社会の中でのリーダーシップも期待されています。しかし、一方で、米国の同盟国としての外交政策や安全保障政策を見ても分かる通りで、その行く末に不安を感じずにはいられません。

今後もトランプ政権の動向にはますます目が離せません。

(公益財団法人ジョイセフ 常務理事 鈴木良一 2017年4月、東京にて)

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