梅毒報告数が3カ月で1000人を超える:過去最速の感染拡大

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2017.5.17

厚生労働省の国立感染症研究所によると、性感染症のひとつである「梅毒」の報告数が、2017年に入ってほぼ3カ月で、すでに1000人を超えたとの報告がありました。1999年以降でみると最も速いペースで感染が広がっていることが判明しました。

梅毒は主に性的接触によって「梅毒トレポネーマ」という細菌に感染し、「しこり」や「ただれ」などの症状が出るほか、妊婦の場合は流産や死産の発生のおそれがあります。
同研究所によりますと、2017年3月26日までに報告された、2017年はじめからの届出感染者数はすでに1013人にのぼり、現在の届出方式になった1999年以降で最多の昨年2016年の同時期の1.3倍と、過去最も速いペースで感染者数が増えていることが分かりました。

東京都、大阪府、神奈川県が上位3都府県

都道府県別では、東京都が323人と最も多く、次いで、大阪が147人、神奈川が61人でした。

梅毒は2012年以降、患者数がすでに5倍に増加しています。厚生労働省は「コンドームを適切に使用して、症状が出たら早期に治療してほしい」と呼びかけています。

予防教育が求められる

このような状況に鑑みて、性教育や性感染症対策の強化が必要であるのはいうまでもありません。性に関する知識や情報のみならず、性行動の責任と相手への思いやりなどについての行動変容教育も含めた予防教育が、今、さらに重要であることを再認識しなければならないと考えます。性感染症は、他人事ではなく自分の問題であるという意識が重要なのではないでしょうか。

また予防教育はできるだけ早期に、それも性交渉を始める前の早期思春期の年齢から始めることが重要だと考えます。責任ある人生を過ごすためにも、早い時期からの「包括的な性教育」が必須であると繰り返し強調したいと思います。

(公益財団法人ジョイセフ 常務理事 鈴木良一 2017年4月、東京にて)