7月11日は世界人口デー

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2018.7.6

7月11日の世界人口デー(*1)に向けて、毎年、国連人口基金(UNFPA)がテーマを発表します。2018年のテーマは、“Family Planning is a Human Right”。正式な日本語訳はまだ発表されていませんが、直訳すると「家族計画は人権」。シンプルですが、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)の基本ともいえるメッセージです。

開発途上国では、今も2億1400万人の15歳~49歳の妊娠を避けたいと望む女性が、避妊の手段を手に入れることができません。途上国での約84%の意図しない妊娠は、近代的な避妊手段が手に入らなかったことが原因です。サハラ以南のアフリカ諸国では、安全でない中絶の合併症で苦しむ女性の70%が20歳以下です。家族計画が実行でき、望まない妊娠を避けることができれば、安全でない中絶によって失われる1年に2万2000人の女性の命が救われるのです。(*2)

今年の世界人口デーのテーマと共に、改めて、この事実を受け止めたいと思います。

1968年4月22日~5月13日にテヘランで開催された人権に関する国際会議で、初めて、家族計画が基本的人権であると、次のように明言されました。「親は、子どもの数と産む間隔を自由にかつ責任をもって決める基本的人権をもつ」。

今年はそれから50年の節目です。半世紀の間に、数々の進展がありました。1974年、ブカレストで開催された世界人口会議の結果まとめられた「世界人口行動計画(WPPA)」では、「親(parents)」に代わり、家族計画はカップルや個人も含まれる「人々(persons)」の権利であることが示されました。その翌年、1975年メキシコ・シティの第1回世界女性会議では、男女平等の確立に家族計画の権利が必須であると明記されます。

1993年ウィーンの世界人権会議では、女性と少女・女児の人権は誰にも奪うことができない普遍的人権の不可分な要素であることが明確にされ、ジェンダーに基づく暴力、性的搾取、セクシュアル・ハラスメントの撤廃への宣言を起草し、同年、国連総会での「女性に対する暴力撤廃宣言」の採択につながりました。

そして1994年、国際人口開発会議(ICPD)がカイロで開催されます。そこで、リプロダクティブ・ヘルスという概念とICPDの行動計画が誕生しました。1995年の国連世界女性会議(北京)で「リプロダクティブ・ヘルスは女性の人権である」と明記した行動綱領とともに、その後の国際社会の指針となっていきます。その理念は、ミレニアム開発目標(MDGs)、持続可能な開発目標(SDGs)に受け継がれています。

冒頭でお伝えしたテヘランの国際会議が始まった1968年4月22日に、ジョイセフ(当時の名称は「家族計画国際協力財団」)が日本政府から財団法人として認可され、創立日となったのは偶然です。ですが、そこに働く不思議な力が、私たちが今、SRHRの推進のために活動する原動力ではないか、とも思えるのです。


2018年7月1日現在の世界人口:7,632,819,000 人 (中位推計値)
国連人口部 World Population Prospects: The 2017 Revision

公益財団法人ジョイセフ
業務執行理事・事務局長
勝部まゆみ

*1 世界人口が50億人を超えたとされる1987年7月11日を記念して、世界の人口問題について関心を高めるため、1989年に国連人口基金が提案し、1990年、国連総会で国際デーのひとつとして定められた。

*2 Women Deliver、Guttmacher Instituteのデータによる。