母子に寄り添い、見守る支援~被災後、何が必要か。【西日本豪雨被災地支援・広島県】

2018年10月1日

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ジョイセフは、西日本豪雨で被害の大きかった広島県呉市天応地区にある被災した母子が集う場所「子どもおたすけ隊」の運営をサポートしています。保育士であり、子育て支援に携わってきた山本さなえさんが個人で立ち上げられたこの場所は、今はこの地域になくてはならない場所になっています。被災から2カ月半、現場で活動する山本さんの生の声をご寄稿いただきました。

子育て世代のための拠点、「子どもおたすけ隊」

西日本豪雨災害後、子育て世代の様子が全く見えず「被害の大きかった地区に子どもの拠点を!」と、何も分からず無我夢中で始めた子どもおたすけ隊の活動。私がしたことといえば場所探しだけで、拠点が決まるとあれよあれよという間に人が集まり、いろいろな支援の手が差し伸べられました。
 その人たちは、合言葉のように「自分も被災地のために何かしたいと思っていた。でも独りでは何もできない。こんな子どもの拠点があるとありがたい。」と言ってくれました。県の外郭団体であるひろしまこども夢財団のご縁で、ジョイセフや広島県助産師会の方々、日頃子育て支援の活動をしている仲間、地元をはじめ、遠く東京、浜松、大阪、熊本や宮崎などからもいろいろな企業、また個人の方々が自分のできることをお申し出くださり、たくさんの物資や活動の担い手が集まったのは、私たちの活動の励みとなりました。

 また東日本大震災や熊本地震など、今までの被災地での経験を無駄にすまいと活動されている専門家やNPOの団体、行政職員が足を運び、蓄積した知識や今までの事例を教えてくれ、次の活動のヒントを伝えるなど、たくさんの手助けがありました。
 まさに「マンパワーの集結」で、「誰かのために自分ができることを」との気持ちで行動する人たちとの出会いは、気の弱い私の「できないかもしれない、けれど何もしないよりはいい。」との勇気につながった気がします。

どこからが被災者か、悩む女性たち

私たちの活動場所である呉市天応地区は、子どもの数はあまり多くはありません。被災後17日目に一人の女の子を預かる活動から始まった子どもおたすけ隊の活動ですが、親子の様子は分かりにくく、天応に子どもはいるの?と思うほどでした。
ぽつぽつ集まり始めた利用者に支援物資を薦めても「私よりもっと被害を受けた方に差し上げてください。」と誰もが口をそろえて辞退されます。困りごとを聞いても言葉数も少なく、困っていないのかと思っていると、他の方から「床上浸水で…」等との情報が入りびっくりすることも多くありました。 被災地に入って初めて、現地の方が思いがけない被害に混乱し、自分も被災しているのに周囲の人みんなが困っているからと自分のことを言い出せない、どこからが被災者なのか、自分は該当するのかも分からない何とも言えない精神状態になっていることが分かりました。
それからは私たちも毎日顔を合わせ、「皆さんの気持ちだから、あなたに受け取って欲しい。」と物資をすすめ、何気ない会話を重ねる中でやっと「あの時はこうだった。」「子どものこんなことが心配」と心の内を聞かせてもらうことができました。もちろん時間が経ち、家の片付け等も一段落しほっとしたから話せることもあるのでしょうが、被災した人から「被害のなかった人には分かってもらえない。」との言葉も多数聞きました。

極限状態にある母親に必要なのは、寄り添い見守る場

災害から2カ月近く経った時、あるお母さんが「私たちが近所にボランティアに行くのは、自分の家よりもひどい状況の家を見て『自分はまだ恵まれている。』と思い現実逃避をしたいから。」と話してくれたこともあります。その自虐的な言葉に胸がギュッと締め付けられる思いでした。
そんな普段では考えられない精神状態になる災害時に、傍で寄り添い親子を見守れる場をいち早く作り、いつでも受け入れ必要な支援につなげられる状態にしておくことは大切だと思います。

 

 被災者の拠点である市民センターには、あまり子育て親子は足を運んでいない様子でした。お母さん方に聞いても「何となく行きにくい。」との声が多かったです。緊急時、混乱の中働いているおとなの中に子どもを連れて行きにくいのが現状でしょう。「避難所に子どもを連れていくのを躊躇した。」という声も多数ありました。
災害時、住民を十派一絡げにするのではなく、拠点の中、できれば少しだけ離れた場所に子育て親子の拠点を作り必要な支援を届けるスタイルが当たり前になればいいと思います。それは子育て世代だけではなく、高齢者、障がい者なども同じでしょう。実際に静岡県など防災意識の高い地域は、すでに避難場所のすみ分け、運営の役割分担など体制が整っているとも聞きました。

災害支援と子育て支援の垣根を取る

日頃から子育て親子に関わっている組織・団体が、災害後の母子のための拠点づくりを担い、責任を持って行うという意識が当たり前になればよいと思います。今は未だ災害支援と子育て支援は別物という意識があるかもしれませんが、「親子の今ある課題を支援する」と考えれば、災害時に柔軟に対応することは必須だと思いますし、何より物資、ボランティア、行政をはじめ他組織とのつながりがある強みがあります。
 「災害時に子どものことはずっと後回しになるのが現状。行政では手が足りない部分を企業が担う。」と動いている方とも出会いました。今後もできれば子育て親子の傍で寄り添いながら、一緒に「親子や地域にちょっといいこと」をできればよいと思います。その中で今回の経験を踏まえ「いざという時」の災害への備えや体制作りのお手伝いをし、次の世代につなげていければ嬉しいです。

 最後になりましたが、こうして私たちが活動できましたことも、物資面、資金面、そして精神面でも活動を支え、励ましてくださったジョイセフをはじめ、様々な団体、企業、行政、個人の皆さま、そして天応地区の親子、地域の皆さまのおかげです。心から感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

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