院内集会「いい加減、自分で決めたい私の人生~グローバルな動きから見た日本の“女性の健康と権利”~」を開催しました

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2019.7.1

ジョイセフは2019年6月27日、参議院議員会館で、院内集会「いい加減、自分で決めたい私の人生~グローバルな動きから見た日本の“女性の健康と権利”~」を開催し、総勢122名が集まりました。6月3日から9日にかけて、カナダのバンクーバーで行われた女性の健康に関する世界最大級の国際会議「Women Deliver(ウーマン・デリバー)2019」に参加した福田和子さん、山本和奈さんが、国際会議で感じた日本のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR)の課題について報告。日本家族計画協会理事長で産婦人科医の北村邦夫先生、法学者で全日本おばちゃん党代表代行の谷口真由美さんの2人のコメンテーターや国会議員、一般参加者との意見交換を行いました。

院内集会の世話役を務めた福島みずほ参議院議員は、開会のあいさつで「先日閉会した国会で改正女性活躍推進法やハラスメント規制法が成立したが、今月ILOで成立したハラスメント禁止条約のレベルには至っていない。ILO条約の批准に向けた国内の整備を進めるとともに、国際会議の報告をしてくれる若い人たちとともに、女性の人権や健康、命を守るあらたな潮流を作っていきたい」と、今後に向けて期待を示しました。

性教育や避妊法が日本で十分に提供されていない現状に疑問を投げかけ、普及を目指す「#なんでないの プロジェクト」を立ち上げた福田和子さんは、自身がウーマン・デリバー 2019で登壇した「包括的性教育を通したエンパワーメント」のセッションや、データについて一日議論するセッションなどを振り返り、「世界的にはジェンダー平等やセクシュアル・ヘルスについて、エビデンスをもとに取り組みを加速しているが、日本は先進国だけでなく途上国からも大きく立ち遅れており、その現状も国際的に認知されていない」とした上で、データに基づく議論で日本社会でも課題点についての理解を広め、女性の基本的権利であるセクシュアル・ヘルスを守っていくべきだとの考えを述べました。

また、女性を含む人々が声を上げにくい日本社会を変えるために活動するVoice Up Japanの代表、山本和奈さんは、「会議中、他の国からの参加者に『日本は男女平等で、性暴力の問題もないのでは』と尋ねられることがよくあったが、現状を共有するとがく然とされた」と振り返り、日本では性教育や性に関する正しい情報が普及していない半面、性暴力対策が不十分で、被害者保護体制が脆弱、総体として性暴力に寛容な傾向があると指摘。「今回の会議では、若い世代が今の社会を変えていくことの大切さが強調されていた。問題意識をもって、変えていくことが重要だ」と強調しました。

北村邦夫さんは、「経口避妊薬の有効性に最初に気づいたのは実は日本人研究者だったが、認可までに40年もかかってしまった。それだけ苦労して導入しても、使用率が2.9%と低いままだ」と指摘。より多くの人が経口避妊薬を使うようになれば、国や企業も他の避妊法の導入を前向きに取り組み始めるのではないかとの見方を示しました。谷口真由美さんは、自身が学生としてリプロダクティブ・ライツを学んでいたころと社会情勢が変わっていないことについて、年長世代の力不足との反省を示したうえで、「かつて尊属殺重罰規定に違憲判決が出た時のように、世論を変えていかなければならない。女性を含め、少数者が多数者の中で存在を認知されるように、国会議員の割合などを変えていく必要がある」と訴えました。

その後の議論では、「女性がピルを使わない理由の一つに、『ピルを飲む女性はふしだらな悪い女』というような偏見があり、値段も高いから。国が重要性を認識して世論を変え、資金投入する必要があるのでは(福田さん)」「自分には関係ないと思う人が多く、声を上げても届かなかったり無視されたりする。場合によってはいやがらせや脅迫を受けることもある(山本さん)」「産婦人科の門をたたくハードルが高いという意見があるので、データベースを作って必要な人が探せるように取り組んでいる(北村さん)」「女性の権利や性教育のために私たちも声を上げ、闘ってきたが、今、若い人が同じことを訴えているなら、私たちが守り、一緒に取り組んでいく必要がある(谷口さん)」などの意見が交わされました。また、会場からは「緊急避妊薬と感染症は別問題なのに、緊急避妊薬のアクセスを語るときに感染症を持ち出すなどの考え方には違和感がある」「アンケートによると、すべての産婦人科医が緊急避妊薬へのアクセスを制限しようと考えているわけではない。最終的なゴールは、薬局で、薬剤師が処方することではないか」「日本ではデータに基づく議論が軽視される傾向にあるが、どうすれば説得していけるか」など、包括的性教育やセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの認知を日本社会で高め、推進していくための、さまざまな質問や意見が上がりました。

院内集会には、国会議員の出席もありました。世界保健機関(WHO)からユニバーサル・ヘルス・カバレッジ親善大使に任命された武見敬三参議院議員は、「日本はジェンダーの分野において、先進諸国の中で最も遅れをとっている。人手が少なくなるから女性に働けというのではなく、女性を個人として認めたうえでの仕組みづくりが必要」と、ジェンダー問題に取り組むことの重要性を強調しました。山尾しおり衆議院議員は「皆さんの声を聴いて、しっかりと政治に反映していきたい」とコメントしました。

 

院内集会の様子は、Youtubeでご覧になれます。