娘が中学生になる前に HPVワクチン(9価)Go To接種ツアーを企画

HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン、対象年齢女子の接種率1%以下の日本。
諸外国に比べ圧倒的に低い理由の一つに、
その実態を「知らない」「知らされていない」現状があります。

当事者として体験レポートをここに綴ります。

セクシュアル・ヘルス/ライツについての情報の格差、アクセスの格差を痛感し、このツアーを企画しました
  1. 長女がHPVワクチン定期接種の対象年齢(小学6年生〜高校1年生の女子)になった。
  2. WHOが推奨し、効果が高いと推奨されているHPV9価ワクチンが日本でもようやく取り扱い開始(2021年2月24日から) →ただし!9価ワクチンは無料の定期接種ではない。つまり自費。
  3. 日本のHPVワクチン定期接種は現在4価ワクチンまで。4価ワクチンを受けるためには、自治体に申請が必要←この情報は、誰がどこで教えてくれるのか?
  4. 12歳の長女に、子宮頸がんとはどのような病気か、予防するワクチンの存在、諸外国と日本のワクチン接種率の違いについて話をしたところ、「効果の高いワクチンを打ちたい」と返答があった。
  5. どこで9価ワクチンを接種できるかリサーチ。筆者の暮らす静岡県東部では、2021年3月末の時点で取り扱っている医療機関ゼロ。
  6. 上記のことを、I LADY.の仕事でご一緒した宋美玄先生に愚痴交じりに相談。
  7. 丸の内の森レディースクリニックでは、事前予約だけで簡単に接種できることを知る。
  8. 地元のママ友(12歳の娘がいる)に情報共有→「接種させたい!」声が集まった。
12歳女子4人を連れて、丸の内の森レディースクリニックへ


8:00am過ぎ 静岡県東部の三島駅から新幹線こだまに乗車 


9:00am 東京駅から地下直結の新丸ビルに到着
新型コロナウイルス感染症対策のため、1階のエントランスでは検温、消毒の他、連絡先などを所定の用紙に記入してからエレベーターで9階へ

丸の内の森レディースクリニック到着


9:30〜10:10
受付を済ませ問診票に記入。
厚生労働省の指示で全例登録を行うワクチンという説明を受ける。接種前にスマートフォンで「ワクチンQダイアリー」に登録。

※ワクチンQダイアリーとは

クリニックの看護師からHPV9価ワクチン(シルガード9)の資料を渡され、下記のような説明を受けました。

HPV9価ワクチンとは?
(これまでの4価ワクチンとの違いは?)

日本で定期接種(小6~高1まで無料)のある4価ワクチンは、子宮頸がんの原因となるHPVの60-70%(HPV6/11/16/18型)をカバーする。9価ワクチンは4価に加え、HPV31/33/45/52/58型が加わり、HPVの約90%をカバーするため、より高い予防効果が期待される。ただし、9価は自費診療。

接種スケジュールと接種部位は?

HPVワクチンは、いずれも3回の接種が必要。

  1. 初回
  2. 初回の接種から2カ月後
  3. 初回の接種から半年後
  4. どの回も接種量は0.5ml。接種部位は腕(三角筋)、太ももの外側広筋などで、上腕の肩に近い三角筋(筋肉内)を選ぶ人が多い
男性も接種できます

2020年12月25日から、日本で男子も4価ワクチンが接種できるようになった。年齢問わず自費。男性がHPVワクチンを接種することで中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんなどの悪性腫瘍や尖圭コンジローマの予防につながる。

一通りワクチンについての説明を受けて、4人でいざ診察室へ

①ワクチン接種

受けた女子の感想

「みんなが注射されても大丈夫なのが見えて、怖くなくなった」

「あっという間、一瞬で終わってびっくり」

「もっと痛いと思っていたから、なんか期待ハズレだった(笑)」

②接種後の注意点について話を聞く


「日本脳炎の予防接種のほうが、注射の時間が長くて痛く感じた…」と感想を述べたKさん(右)

③宋先生によるミニ性教育レクチャー
生理のこと、セックスのこと、性感染症のことを聞く


「生理の時、痛いとか量が多いとか、とにかく生理前や生理中にしんどかったら我慢しなくていいんだよ。いつでもクリニックに来て」と宋先生。


10:50 ツアー終了 
12歳の女子たちに、今知っておいてほしい大切なことを、わかりやすくレクチャーしてくれた宋先生。ありがとうございました。
おかげで記念すべきHPVワクチンツアーになりました。

今回のHPVワクチンツアーに参加できなかった女子の保護者たちからも、「親同士(夫婦)で考える、話し合う機会を与えてくれてありがとう」と連絡を受けて、改めて、情報を正しく知ること、伝えることの大切さを痛感しました。

今回の体験を通し、筆者が学んだこと、特に世界の動きと日本の実態を記します。

毎年約1万人の女性が罹患し、約2900人が亡くなっている日本

グローバルスタンダードの視野で活動を展開するジョイセフが、日本のセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの問題に取り組むため、I LADY.を始める時に、真っ先に目にとまったデータの一つが日本の子宮頸がんの実態でした。

子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を原因とするがんです

男女を問わず性交経験のある人の8割が一生に一度はHPVに感染します。誰もが関わる感染症です。ただし、感染してもほとんどのウイルスは2年ほどで自然に体外に排出されます。ウイルスが排出されず、数年から十数年にわたって持続的に感染した場合、一部が前がん病変につながり、さらにその一部が子宮頸がんに進行します。

日本では年間約1万人の女性が罹患し、約2900人が死亡。罹患者は20代後半から40代が多く、若年化が進んでいます

このような日本の現状を改善しようと、医師が中心となって情報発信を行い、HPV感染症の啓発をする「みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」
このサイトで、日本と諸外国のHPVワクチンの接種率の比較表を見れば、日本の特異性が一目瞭然です。日本だけが極端に接種率が低いのがわかります。

子宮頸がんはワクチン接種で撲滅できる病気に

ワクチン接種と検診を徹底することで、今世紀中に子宮頸がんの新規罹患者をなくすことができるとの試算もあります。WHOは2020年に、子宮頸がんの撲滅に向けた目標を掲げました。2030年までに「ワクチン接種率90%(15歳未満の女性)」「検診受診率70%(35、45歳女性)」という目標です。HPVワクチンの接種率が高い国では、子宮頸がんの排除が視野に入ってきており、日本は世界から取り残されつつあります。

日本では、2010年にHPVワクチンが公費助成対象になり、2013年4月から定期接種化されました。しかし、接種を受けた人から失神や持続的な痛み・運動障害が出たという声が上がり、因果関係が不明なまま、新聞やテレビなどで報道されたことを受けて、 わずか2カ月後の2013年6月、厚生労働省はHPVワクチン接種の積極的勧奨の一時中止を決定しました。そのため、 定期接種開始当初の接種率は70%でしたが、近年は1%以下にまで下がっています。

ワクチンの名前 サーバリックス ガーダシル シルガード9
HPVの種類 2 4 9
予防するHPV 16.18 16.18
6 .11(尖形コンジローマ)
16.18.31.33.45.52.58
6.11(尖形コンジローマ)
公費・自費 定期接種の対象年齢の女性であれば公費 
対象年齢外の女性、男性は自費
定期接種の対象年齢の女性であれば公費
対象年齢外の女性、男性は自費
自費(2021年4月現在)
丸の内の森レディースクリニックは、年齢問わず
3回接種で10万円+税
1回接種は36000円+税
接種時期 1回目:(小6〜高1の間で)
2回目:初回の1カ月後
3回目:初回の6カ月後
1回目:(小6〜高1の間で)
2回目:初回の2カ月後
3回目:初回の6カ月後
1回目:ー
2回目:初回の2カ月後
3回目:初回の6カ月後

※世界ではすでにHPV9価ワクチンが公費接種されている国もあります。

日本では、積極的勧奨の中止に伴い、HPVワクチンの定期接種対象者やその保護者が「接種するかしないか」を判断するのに十分な情報が提供されておらず、それがもっとも大きな課題だと今回の企画で痛感しました。

大事なのは、まずは親たちが知ること

HPVワクチンの有効性とリスクを知る。
知った上で、家族で話し合いワクチンを接種するかしないかを決める。
接種するとしたらいつ接種するのか、どのワクチンにするのか
自費で9価ワクチンを接種するのか
公費で接種できる4価ワクチンにするのか
筆者のママ友の中には、9価ワクチンの有効性を知りつつも、経済的理由で自費の9価を見送り、4価ワクチンを公費で受ける選択をした人もいます。

保護者の皆さん、どうしますか?

定期接種可能な期間(小6〜高1)内に、一度当事者と家族で話しあう機会を作ってみてはどうでしょうか。HPVは、誰でもかかるウイルスなので、ワクチンは年齢を問わず、そして男性にも有効です。

すべては、大切な我が子を守るために。
我が子が世界標準のセクシュアル・ヘルス/ライツを持てるように

そのために、親の私たちがまずできることは、情報を正しく知って選択(決定)することです。

医療も制度も日々新しく変わっています。
それに伴い情報も日々アップデートされます。
これからも一緒に学び続けていきましょう。
筆者もアップデート情報を共有していきます。

HPVワクチンの接種を希望する場合は、

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