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女性首相が誕生したら、ジェンダーギャップは縮まる? ――14歳の言葉から考えた「自分の人生を自分で決める」ということ

2026.9.18

今年も「ジェンダー・ギャップ指数」が発表されました。

2026年、日本は145か国中117位。新聞各紙の見出しには、「高市首相就任も状況変わらず」「G7最低」といった言葉が並んでいます。

この報道を見て、私はこの1年間、企業研修や講義で何度か聞かれた言葉を思い出しました。

「高市さんが首相になったんだから、日本の順位もかなり上がるんじゃないですか?」

もちろん、女性が国のトップに立つことは、大きな意味があります。でも、ひとりの女性がリーダーになったからといって、社会の中にあるジェンダーの格差が、すぐになくなるわけではありません。

ジェンダー・ギャップ指数が見ているのは、政治だけではありません。経済、教育、健康、政治参加など、社会のさまざまな場面で、男女の機会や状況にどれだけ差があるのか。

つまり、問われているのは「女性首相がいるか」だけではなく、私たちの暮らしの中に、どんな「見えない不平等」がまだ潜んでいるのか、ということなのだと思います。

そんなことを強く感じたのが、先日、伊豆市の中学校2校で行った男女共同参画の出前講座でした。

テーマは、
「性別にとらわれず、自分の人生の可能性を広げよう」
14歳の子どもたちと、一緒にジェンダーについて考えました。

正直に言うと、私はそこで、少し驚きました。

14歳の子どもたちは、もうすでに、たくさんの「こういうものだ」を抱えていたのです。

たとえば、こんな問いかけをしました。

ある日、少年と父親が交通事故に遭いました。父親は亡くなり、少年は病院へ運ばれます。手術室に入ってきた外科医が少年を見て、『この子は、私の息子です』と言いました。さて、この外科医は誰でしょう?

答えは「母親」ですが、そう聞いて驚く子どもがいました。

この問いは、答えを当てるためのクイズではありません。「外科医=男性」という、私たちが無意識に持っている思い込みに気づくきっかけとして使われるものです。

子どもたちの感想には、こんな言葉がありました。

自分はジェンダー差別なんてしていないと思っていたけれど、勝手な思い込みを普段からしていた

女子はコスメが好きで、スカートをはくものだと考えていることが偏見だと気づいた

『男女に分かれて』と言われると、少し辛くなる。自分の性別と名前に違和感がある

そして、

自分の普通を人に押しつけないようにしたい

これから好きなように生きていきたい

人生の選択肢が広がるかなって、改めて感じた

14歳の言葉に、私は何度も立ち止まりました。

私たち大人は、つい「ジェンダー平等は大事ですよ」と言ってしまいます。

でも、本当に大切なのは、知識として「男女平等」を知ることだけではない。

自分の中にある「男だから」「女だから」「普通はこう」という思い込みに気づいて、自分の人生を、自分で選べること。
そして、他の誰かの人生も、その人自身が選べるものとして尊重すること。

そこまで含めてジェンダー平等なのだと思います。そして、これはジェンダーの問題だけではありません。

私はジョイセフで、性や健康について学ぶことの大切さを伝えてきました。

日本は、生存率や健康寿命では世界トップクラス。そこは、私たちが誇っていい日本の強みだと思います。

でも、その一方で、子ども・若者の自殺は深刻な状況にあり、世界幸福度報告でも、日本は「人生の選択の自由」などの項目で低い評価となっています。

長く生きられることと、自分らしく生きられることは、同じではない。

私は、そこに日本社会が考えなければならない、大切な問いがあるように思います。

自分のからだや気持ちを大切にできること。
「嫌だ」と言えること。
困ったときに相談できること。
自分の人生について、自分で考え、選び、決められること。
そして、他者の選択も尊重できること。

私は、こうしたことまで含めて「健康」なのだと思っています。

だからこそ、性について学ぶことを、「特別なこと」や「一部の人のための教育」にしたくありません。

自分のからだを知ること。
自分の人生を自分で決めること。
相手を尊重すること。

それは、すべての子どもたちが学んでいい、生きていくための基本的な学びだと思うのです。

私は、二人の娘の母親でもあります。

娘たちに、そしてすべての子どもたちに伝えたい。

「あなたのからだと人生は、あなたのもの。自分で選んでいいんだよ」

そんな社会を次の世代へ残したいと思っています。

だから、今年も発表されたジェンダー・ギャップ指数の「117位」という数字を見て、「日本はまだまだだ」とため息をつくだけではいられませんでした。

まずは、私たち大人自身が、自分の中にある偏見やバイアスに目を向けてみる。

「男だから」
「女だから」
「普通はこうだから」
「みんなそうしているから」

そんな無意識の思い込みを、「本当にそうなのかな」と一つひとつ問い直してみる。

14歳の子どもたちが教えてくれたのは、そんな小さな気づきが、人生の選択肢を広げることにつながるということでした。

社会を変えるというと、大きなことのように聞こえます。

でも、もしかしたら、その第一歩は、私たち一人ひとりが、自分の中にある偏見やバイアスに気づくことなのかもしれません。

今回の「117位」というニュースを見て、なんだか居ても立ってもいられなくなって、私はここに書いてみました。

14歳の子どもたちの言葉を、今こそ大人たちにも届けたい。

そして私自身も、これからも自分の中にある偏見やバイアスを問い続けたいと思います。

Author

小野 美智代
カンボジアの友人が出産により命を落としたことをきっかけにジョイセフへ転職。これまで広報グループ長、市民社会連携グループ長、デザイン戦略室長、事務局次長を歴任し、2025年4月からはパートナーシップグループのディレクターとしてコミュニケーション・ブランド強化とファン拡大に取り組む。自他共に認める熱血&お調子者で、走りながら考え、創造することが得意。チャリティーピンキーリング、ホワイトリボンラン、I LADY.を発起。 プライベートでは、2人の娘と同い年の夫との4人家族。2005年から事実婚の形を選び、新幹線通勤を続けている。