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【選択的夫婦別姓・全国陳情アクションより】選択的夫婦別姓が認められない唯一の国、日本。【国連「UPR審査会」ジェンダー・SRHRに関する人権改善勧告院内勉強会から⑩】

2023.8.4

選択的夫婦別姓・全国陳情アクション 井田 奈穂


 
国連人権理事会は、人権侵害を防止し、総合的な政策ガイダンスを提供し、新しい国際規範を発展させ、世界のいたるところで人権順守を監視し、加盟国が人権に関する義務を果たせるように支援する機関です。(国連広報センター引用)

国連人権理事会では、全ての国連加盟国の人権状況を定期的に審査する仕組みがあります。この審査はUPR(普遍的定期的レビュー)と呼ばれ、4年半ごとに行われます。
2023年1月末に開催されたUPR日本審査に向けて、ジョイセフは国内外の8つの市民団体* と共同で、日本国内のSRHR(性と生殖に関する健康と権利)の課題をまとめた報告書を2022年7月国連に提出しました。

2023年7月には、第53回人権理事会で勧告採択が行われました。それに先立ち、日本政府に勧告を「受け入れる」採択を求めるため、ジョイセフと「#なんでないのプロジェクト」の主催で、市民社会が集まった勉強会を、衆議院第一議員会館にて行いました。

この記事は、勉強会に参加した「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の井田奈穂氏による発言をまとめたものです。日本は世界で唯一、夫婦別姓が認められない国であり、そのために多くの人々が苦しんでいると井田氏は指摘。今回のUPRを受け、長年にわたり国連から改善勧告が届いていることをあらためて伝え、選択的夫婦別姓を認めるよう日本政府に呼びかけました。

*8つの市民団体:#なんでないのプロジェクト、#緊急避妊薬を薬局でプロジェクト、SOSHIREN 女(わたし)のからだから、LGBT法連合会、一般社団法人Spring、持続可能な社会に向けたジャパンユースプラットフォーム(JYPS)、Sexual Rights Initiative、Asia Pacific Alliance for Sexual and Reprroductive Health and Rights

日本のジェンダー不平等を象徴する「夫婦同姓」の問題

2017年に続き、今回のUPR審査でも、「ジェンダー平等に向けた法整備」の勧告が日本政府に複数提出されました。

日本は世界で唯一、夫婦が同じ名字を使うように定められている国です。そのため婚姻の際、望まないのに名字を変えなければならない人たちが多くいます。結果として自分のアイデンティティが傷ついたり、仕事で不利益を被ったりすることも珍しくありません。

私たちは、全国に約700人のメンバーがいる団体です。婚姻時に夫婦がそれぞれ別の名字を選べるようにするための法改正を求め、2018年から議員に陳情を続けてきました。

日本では選択的夫婦別姓が認められないため、名字を変えたくないカップルは結婚をためらう可能性があります。夫婦同姓は、少子化の原因の一つになっているという見方もあるのです。

この問題に関して、国連からも繰り返し改善の勧告が出されていますが、半世紀以上経っても選択的夫婦別姓は認められていません。これは日本における男女不平等の象徴と言えるのではないでしょうか。

日本政府は国連の勧告を受け入れて、不合理な法律を改善してください。

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