地域の女性の健康を守る環境と人づくり
- レポート
- タンザニア
2011.7.11
東アフリカの中央に位置する国、タンザニア。キリマンジャロ山やビクトリア湖など豊かな自然に恵まれたこの国でも、多くの女性たちが命がけのお産をしています。
タンザニアでは、約半数の女性が自宅で出産しています。特に農村地域の女性は現金収入を得る機会が少ないため、地域の保健施設でお産をするための準備費用や保健施設に行くまでの交通費、入院中の食事代などを払うことができず、自宅出産する現実があります。
ジョイセフが2011年から活動の実施を計画しているシニャンガ州では、お産をする女性のうち65%が助産の技術訓練を受けてない人の立ち会いで出産し、8%は自分1人で出産しています。こうした環境では、出産時に緊急事態が起きても適切な処置ができず、また医療施設への搬送手段もないために手遅れになっています。その結果、お母さんのみならず赤ちゃんも亡くなる確率が非常に高くなります。
また、たとえ保健施設でのお産をすることができたとしても、水や電気など基本的なインフラが整っておらず、基礎的な医療機材も不足している保健施設が、まだまだたくさんあります。保健スタッフの人数も不足しています。保健施設でも安全で清潔なお産ができるとは限りません。
ジョイセフでは、現地のパートナーNGOであるIPPFタンザニアと協力し、1983年から母と子の健康を守るプロジェクトを行ってきました。
IPPFタンザニアと25年以上にわたって活動してきたジョイセフの経験を活かし、2011年からは新しくタンザニア北西部のシニャンガ州シニャンガルーラル県ニンド郡の6地区30村を対象地域として、女性の健康を守るためのプロジェクトを行います。
プロジェクトでは、企業、団体、そして個人を含む多くの支援者からのご寄付と、JICA草の根技術協力事業の資金を得て、地域の女性の健康を守るための「人づくり」を行います。地域における安全なお産のための知識普及を行う保健推進員の養成に加え、よりよい保健サービスが提供できるよう保健スタッフの母子保健、家族計画分野を中心とした技術と知識を向上させる研修を行います。
また保健施設でより安全で清潔なお産ができるように、施設の改善や医療機材を提供し、女性の健康を守る環境づくりも併せて行っていきます。また、保健推進員が地域の女性と保健施設を繋ぐ重要な役割を担い、より多くの女性が安心して適切な保健医療サービスや情報が受けられるようにプロジェクトを推進していきます。