福島県の被災母子保健支援事業の取り組み -日本助産師会福島県支部の会合に参加して-
- 東北の女性支援
- レポート
2011.7.27
7月24日(日)福島市保健福祉センターにおいて、東日本大震災で被災した福島県下の母子への支援について、日本助産師会福島県支部(塩野美紀子支部長)の会員助産師18名が一堂に会して熱心な話し合いが行われました。今回の目的は、福島県からの委託事業である「被災妊婦支援事業」の概要説明と運営方針についての研修が中心でした。併せて福島県保健福祉部児童家庭課の小野喜代子母子保健技師(母子保健担当)から、福島県の被災妊婦の状況と支援事業の説明が行われました。
福島県では、地震・津波に加えて、原発の影響は深刻です。妊産婦や母子の度重なる避難や移動によって対象者の把握が難しくなっています。また前年と比べると出生がすでにこの時点で約3割減となっているなどの報告もありました。また県としては被災母子の支援事業を福島県支部の助産師チームとの連携協力により、避難所や仮設住宅で生活している妊産婦や乳児への家庭訪問をさらにきめ細かく実施したいとの方針の説明がありました。石田登喜子・副支部長からは福島県支部としての体制と準備状況の説明がありました。
この日、日本助産師会の葛西圭子専務理事およびジョイセフから参加した鈴木良一理事・事務局次長から震災支援事業の進捗報告と今後の計画についても説明。ジョイセフでは7月1日から産婦に対する義援金の支給を開始したことを報告。ジョイセフと日本助産師会との連携協力事業は、今後も地域のニーズにあわせて、産婦への義援金支給のほか、産前・出産・産後ケアおよびカウンセリング、家族計画サービス、母子健診事業推進への支援、物資機材供与、妊産婦さんや女性を対象にしたイベントの企画など、継続していくことを説明しました。
さらに、この会合で、福島県の助産師の地域代表(いわき会、福島会、若松会)から被災者支援の現場からの報告があり、地域ごとの取り組みが紹介されました。「いわき会」は、原発の被災地域が多く住民の避難、退避により妊産婦の把握が難しくなっている。「福島会」や「若松会」の対象地域では県内被災者の受入れ市町村も多く、新たな対応が必要となっているとのこと。「産後うつ」や「ストレス」を感じている妊産婦や子どもたちがいて、引き続き親身なカウンセリングや「心のケア」や妊産婦同士が気兼ねなく話せる場所の提供や「ピア・カウンセリング」などが必要であるとの話し合いも行われました。今後も地域における助産師チームの役割は大きくなっていくと思われます。
今回参加して、福島県(行政)と助産師会の連携協力が着実に実施されていることが印象的でした。ジョイセフとしてもできる限りの継続的な支援を実施していく所存です。
(鈴木良一)