ミャンマー マラリア対策ドラマ制作報告

2013年8月28日

  • 活動レポート
  • J-CEU

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2013年5月中旬から3週間、マラリア予防のための啓発ドラマ「Golden Encounter(黄金の出会い)シーズン1(全6話)」の撮影がミャンマーのモン州で行われました。

国際NGO機関であるPSI(Population Service International)のミャンマー支部から、マラリア予防をテーマにしたドラマを制作してほしいとの委託を受け、立ちあがったプロジェクトです。ジョイセフはこれまでにもミャンマーで国際機関とのプロジェクトで健康分野に関する啓発教材を制作してきた経緯があったことから、今回もミャンマー政府のマラリア対策課(National Malaria Control Program)とミャンマー保健省・健康教育推進本部(Central Health Education Bureau)の協力を得て、4機関合同で撮影を行いました。このドラマは、テレビとラジオを通じて放送されます。

プロジェクト担当
yoshidome

吉留 桂
J-CEU(JOICFP Communication Experts Unit)
オーディション。実際にカメラの前で演技をしてもらい役者が決定します。

オーディション。実際にカメラの前で演技をしてもらい役者が決定します。

ドラマの舞台はミャンマーの、とあるゴム園。そこで働く若い男女の障害多き恋愛を軸に、マラリア対策のキーワードがストーリー中に散りばめられています。マラリア対策を前面に押し出したものは国民が観てくれないとの意見が尊重され、一見それとはわからないように、恋愛ドラマの中にマラリア予防の知識を盛り込んだ娯楽作品となっています。
例を挙げると、主要な登場人物の一人であるゴム園の主人が妻に何度注意されても、蚊帳の中で寝ず、熱を出すシーンが出てきます。これは、現地の男性には蚊帳は女・子どもが使う物という意識が根強く、繰り返しマラリアにかかってしまう人が多いことから、蚊帳は誰でも使うものだということを啓発しています。
また、別のシーンでは、主人が熱を出し、使用人として働く主人公の女の子に薬を買いに行かせる際、いつもの安い薬を買ってくるように指示します。買って帰ってきた薬をたまたま目にした青年(女の子のボーイフレンド)が「ちゃんと国家認証マークがついているものにしないとだめだよ」と諭すなど、日常の中にあふれる「ついつい、やってしまいがちなこと」がそれとなく表現されています。
このほか、マラリアになったら24時間以内に医者にかかれるように最寄りの病院をチェックしておくこと、病院に行ったら速やかにマラリアかどうかを判定するテストを受けて適切な処置をすることなどが、恋愛ドラマの流れを邪魔しないような形で出てきます。

撮影前の全体打ち合わせの様子。

撮影前の全体打ち合わせの様子。

クレーンを使った撮影。クレーンは片側カメラマン、反対側にも人間が乗り、てんびん状態でクレーンをコントロールします。

クレーンを使った撮影。クレーンは片側カメラマン、反対側にも人間が乗り、てんびん状態でクレーンをコントロールします。

撮影期間中は現地スタッフに対して、カメラワークやクレーン撮影の仕方、演出方法などの指導も行いました。啓発教材を作るうえで必要な知識・技術・技能の習得を目指してのことです。
2013年7月15日~18日には、PSIミャンマー支部で映像制作の編集と音声を担当するAung Nwai Htwayさんが研修のために来日。仮編集~スタジオでの本編集までの流れやナレーション収録の手法などを学んでいきました。彼にはミャンマーに戻ってから、学んだばかりの技術を活かしてドラマで使用するナレーション収録のディレクターを担ってもらい、日本へ送ってもらうことになっています。
作品は10月末までに仕上げて、ミャンマーの国営・民営両方のテレビ、ラジオを通じて全国放送される予定です。

ドラマ撮影のアシスタント・ディレクターとして5月5日からミャンマーへ派遣され、今回の報告をしてくれた吉留桂(シニア・プログラムオフィサー)はジョイセフのJ_CEUというグループに所属しています。
J_CEUとは、JOICFP Communication Experts Unitの略。日本語では技術移転グループと呼ばれています。

このグループでは、途上国の人たちが自分たち一人ひとりの健康の大切さに気づくためのコミュニケーション戦略づくりや、メッセージの作成、地域のニーズに合った教育教材を提案。その開発から、作り方、拡散の仕方、集めた素材やデータの保管の仕方なども含めて、On the Job training形式で技術移転を行っています。一言で言うならば、人々に「自分だったらこんな時にどうしたらよいのか?」を考えてもらい、次の知識へ駆り立て、やがて、それが行動へとつながるような仕組みや教材づくりおよびその技術移転を行う—それがJ_CEUという部署なのです。

活動の一例を挙げると、東ティモールでは妊産婦死亡を防ぐために、紙芝居やDVDを作成。妊産婦死亡を減らすためには男性が大きな役割を持つことを地域に広めるために制作し、教材の使い方の研修も行いました。また、ミャンマーでは、政府の技術者に対する教材作成のための技術移転トレーニングを行い、台本の書き方、機材の使い方、撮影方法などをOn the Job Training形式で実施してきています。

教育・啓発教材を作成する時は、プロジェクト地域において「なぜ正しい情報が伝わらないのか」について事前調査が行われます。そして、啓発したいメッセージに対するこれまでの障害がなんであるかを見極めます。さらに、実際に起こった事件や体験を取材し、より多くの人々が共感できるように実話を盛り込んだ教材を制作していきます。教材は映像や音声によるドラマだったり、紙芝居だったり現地のニーズや状況に沿って決められます。そして、もっとも効果的に情報を伝達できるツールを、プロジェクト地域によって選び出します。
今回のプロジェクト地域・ミャンマーでは、進まないマラリア予防の浸透を目的とし、その改善のためにラジオとテレビのどちらでも放送できるテレビおよびラジオドラマがツールとして選ばれました。

地元消防車と消防団も駆けつけての、火事シーンの撮影。

地元消防車と消防団も駆けつけての、火事シーンの撮影。


撮影のために、道路も建設されました。

撮影のために、道路も建設されました。


役者さんへの演技指導。

役者さんへの演技指導。

スタッフ、役者たちの全体写真。

スタッフ、役者たちの全体写真。

インタビューの最後に、今回の撮影の感想を吉留に尋ねると、「準備を含め約1カ月で、6話分の撮影を行うタイトなスケジュールでしたが、現地では、それぞれスタッフの経験や持ち味を活かしながらチームワークよく仕事ができました」との答えが返ってきました。そのおかげか、現地では早くもシーズン2の撮影が始まるのを待ちわびる声が多く上がっていると言います。J_CEUのチーフテクニカルアドバイザーであり、脚本・監督・撮影まで一手に引き受ける「親方」こと吉野篤の「頭の中にはすでにシーズン5まで構想があると聞いています。マラリアだけでなく、プロジェクト地域のさまざまなニーズに応えられる作品をシリーズ化していけたら」とのことでした。

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