「バングラデシュにおける子どもの虐待防止プロジェクト」スタート!

  • レポート

2014.10.15

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バングラデシュで新たなプロジェクトがスタート!
「バングラデシュにおける子どもの虐待防止プロジェクト」

深刻化する児童虐待……

ジョイセフは、欧州委員会(European Commission)の助成を受け、2014年度、新たにスタートした、5団体により共同で実施される「バングラデシュにおける子どもの虐待防止プロジェクト」に参加します。

南アジアに位置するバングラデシュは、児童虐待が深刻な社会問題のひとつです。しかし、一口に児童虐待と言っても、ネグレクトを含む身体的・精神的な暴力、性的な暴力、体罰、児童労働、早婚など、種類は多様です。そのため、実際に児童虐待をしている人の中には自分の行為が虐待につながっているとは思わず、しつけと称した体罰を日常的に行っていたり、貧困を理由にやむなく子どもに労働や早すぎる結婚をさせるケースも多く存在します。また、周囲の人びとがこの問題に対して無関心だったり知識がないことも、児童虐待が減らない原因のひとつとなっています。
そこでジョイセフは、バングラデシュで活動している現地NGO団体と共に、児童虐待防止を推進するプロジェクトに参加し、解決に向け共同で活動することになりました。

プロジェクトを一緒に行うのは、バングラデシュを拠点に活動する下記の4団体です。

IPPFバングラデシュ (FPAB:バングラデシュ家族計画協会)
ボランティアを育成し、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康/権利)の普及に努める。
BCCP (Bangladesh Center for Communication Programs)
コミュニケーションを通じて、住民の社会問題に対する意識を高め、キャンペーンを組み立てることを得意とする。
AB (Aparajeyo Bangladesh)
児童労働、児童売買を防止するため、市場やバスターミナル、船乗り場などで子どもたちの保護を行う。孤児院、シェルターも運営している。
BLAST (Bangladesh Legal Aid and Service Trust)
女性や子どもなどを対象に、人権擁護の活動を行う。子どもの権利を広めるため、政策提言活動にも力を入れる。

ジョイセフは各団体が共通で使用するコミュニケーション戦略づくりと、プロジェクトで使用する教材の開発に携わります。

コミュニケーション戦略構築ワークショップを開催

プロジェクトを実施するにあたり、8月22日~9月10日にかけて技術移転グループの吉野、福田、吉留、が首都ダッカとチッタゴンを訪れ、コミュニケーション戦略構築ワークショップの開催および情報収集をしてきました。

ワークショップの様子

ワークショップの様子

3日間かけて首都ダッカで行ったワークショップには、全5団体から関係者26名が参加。プロジェクトの目標やその目的、目標達成に向けてどんなメッセージを送るべきか、また誰が情報の送り手になるのが効果的か、情報の受け手を誰にするべきか、さらには情報の送り方、送る素材に至るまで、お互いのアイデアをグループワークで出し合い、今後のコミュニケーション活動の基盤となる戦略をまとめました。加えて、プロジェクトの推進を阻害する要因についても確認が行われました。現地の人たちに聞き取り調査を行い、集めた情報から得られた阻害要因を分析して、教材づくりに活かしていきます。

工場で働く少年

工場で働く少年

子どもの労働や暴力について食品卸市場管理委員会に取材

子どもの労働や暴力について食品卸市場管理委員会に取材

家庭内の体罰について母親に取材

家庭内の体罰について母親に取材

児童虐待を防止するために。まずはその存在を知ってもらうことが肝心

プロジェクトの大きな目標は、バングラデシュから児童虐待をなくすこと。
でも、どんな行為が虐待なのかがわからなければ、虐待を止めることはできません。今回のプロジェクトでは、まずは児童虐待という言葉を浸透させ、徐々に人びとの理解を深めていきたいと考えています。

バングラデシュから児童虐待をなくすために。
児童虐待に関する知識を広めるプロジェクトが始まっています!

バングラデシュにおける児童虐待データ

    2008年に実施された子ども世論調査(The Children’s Opinion Poll 2008)
    家庭で身体的な虐待を受けている Copy
    3/4の子どもたちが家庭で
    身体的虐待が起きていると回答


    職場で身体的虐待を受けている
    働いている子どものうち、
    1/3が職場で虐待が起きていると回答

    学校で身体的虐待を受けている
    学校に通っている子どもたちの91%が、
    身体的虐待が学校で起きていると回答
    そのうち、1/4の子どもたちが
    毎日起きていると回答

    yajirushi
    毎日学校で身体的虐待を受けている
    86%が週に1度の頻度で
    起きていると回答

    yajirushi

    週一度は学校で身体的虐待を受けている

    Multiple Indicator Cluster Survey 2006 and the National Child Labor Survey 2002-03

    児童労働に関与している子どもたち(5~14歳)の数
    5-14歳の子どもの13%が児童労働に関与している

    Government and the Bangladesh Institute of Development Studies

    バングラデシュには約67万4000人のストリートチルドレンがいて、首都ダッカだけで25万人に上る(2005年)

    Multiple Indicator Cluster Survey 2006

    15-49歳の女性の1/3が、15歳の誕生日前に結婚し、20-49歳の女性の3/4が18歳の誕生日前に結婚している


    出典:「Situation Assessment and Analysis of Children and Women in Bangladesh (2009)」UNICEF Bangladesh