山を越え、遠隔地の被災女性・母子に支援を届ける

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2015.10.14

ジョイセフは、4月25日に発生したネパール地震で被災した女性と母子を対象に、皆さまからお寄せいただいた寄附金を活用し、現地協力団体のIPPFネパール(FPAN:ネパール家族計画協会)とともに、緊急支援活動を実施しています。
活動の中心となるのは、医師や看護師、心理カウンセラー、検査技師等で構成するチームによる巡回診療活動です。災害時に水・食糧およびシェルターの支援や緊急医療支援の陰で後回しにされがちな、妊娠や出産、避妊、性感染症、HIV/エイズ等に関連した保健医療サービスを女性と母子に届けます。
8月からは、国際協力NGOの緊急支援活動を主にサポートするNPO法人「ジャパン・プラットフォーム」(JPF)の助成も得て、交通アクセスの課題が大きいために援助団体の支援が入っていないネパール東部のラメチャップ郡とシンズリ郡の村々での支援活動を開始しました。 プロジェクト地域から最新レポートをお届けします。

地図上では首都カトマンズから近いラメチャップ郡ですが、数えきれないほどのヘアピンカーブを車で走り、いくつも山を越え、5−6時間かけて、ようやく郡の中心であるマンサリという町に到着します。
ジョイセフとIPPFネパールが郡保健局と調整して選んだ活動地は、マンサリから近くて2時間、遠いところでは6時間ほどかかってしまうところです。ヘルスポスト(診療所)は山の上にあり、アクセスが非常に悪く、さらに必ずしも医師が常駐していなかったり、必要な薬も少なかったりという状況です。そのため、ジョイセフはIPPFネパールと共に巡回診療サービスの提供と、女性支援のためのキットの配付を行っています。巡回診療では、普段ヘルスポストでは提供されないサービス、たとえばインプラント(皮下埋込式ホルモン避妊法)などの家族計画サービスや、子宮頸癌の検査なども行っており、前述の巡回診療医師やカウンセラーを含めたチームで、住民のニーズに応えようとしています。その結果、予定していた数を上回る人がサービスを求めてやってきました。ラメチャップ郡の隣にあるシンズリ郡でも同様です。これまでは歩いて6時間かけて郡病院まで行っていたのが、この巡回診療はアクセスが容易であることに加え、サービスの質もよいので、ぜひ定期的に実施してほしいとの声がいくつもありました。
また、復旧・復興が進んでいくなかで、見落とされがちな妊産婦のニーズに少しでも対応できるよう、妊産婦への支援としてキットを配付しています。生理用ナプキン、石鹸、下着など計14点が入ったパッケージです。被災した場合、食料や衣類の無料配付、子どもの教育費免除などが受けられるカードがもらえることになっていますが、この地域では、まだ受け取っていない人も少なくありません。そのため、キットの配付は、特に女性たちに重宝されています。