新たな挑戦・2年次がスタート

高いオーナーシップを持つコミュニティの人々 自分たちの命と健康は自分たちの力で守るというスピリット 日々進化する村の人々と命を守るプロジェクト

2016年2月1日

  • 活動レポート
  • ザンビア

2年次計画のスタートアップ会議開催:サステナビリティが中心アジェンダ

ザンビア妊産婦・新生児保健ワンストップサービスプロジェクトの2年次が、2015年12月から新たに始まりました。外務省の日本NGO連携無償資金協力事業として在ザンビア日本大使館の支援を受けて2014年12月に開始されたプロジェクトです。
その一環で、ジョイセフと協働機関のIPPFザンビア(ザンビア家族計画協会:PPAZ)およびザンビア政府保健省との共催で、2016年1月22日にザンビア・キトウェ市(ンドラから西へ58キロ)のMOBAホテル国際会議場で2年次の「スタートアップ会議」を開催しました。
コッパーベルト州のマサイティ郡とムポングウェ郡の10プロジェクト地区の運営委員会、母子保健推進員(SMAG)、ピア(若者)・エデュケーターの各選抜代表と保健省からは中央、州、郡保健局のそれぞれのカウンターパート(C/P)のほか、PPAZ本部・ンドラ支部のC/Pを含めて総勢47名が参加しました。

本会議では、
  1. 1年次の成果の報告と2年次の活動計画の確認
  2. プロジェクトの自立発展性(サステナビリティ)のための参加型ワークショップ

が、中心アジェンダとなりました。

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コミュニティのオーナーシップの促進とC+PPPの提唱

開会式において、ジョイセフとPPAZの両代表は、官民連携パートナーシップ(PPP・Public Private Partnership)に、コミュニティの主体性(オーナーシップ)や住民参加の重要性を再認識し、PPPにコミュニティ(C)の連携を含めたC+PPPを提唱しました。コミュニティの主体的参加がこのプロジェクトの特徴であると考えるからです。

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与えられるサービスを住民が待つのでなく、積極的に自らの健康を守り、推進するためのオーナーシップを、このプロジェクトを通して学んで欲しいと思っています。本会議では、コミュニティや地域住民が、いかに地域の妊産婦や新生児の命を守り、若者も含めた住民のセクシュアル・リプロダクティブヘルス/ライツ(SRH/R:性と生殖に関する健康/権利)の推進ための活動を実施すべきかが、終日、熱気を帯びて話し合われました。

2年次の新たな拠点(サイト)づくり:ムポングウェ郡カルウェオ地区

プロジェクトは、ザンビア・コッパーベルト州マサイティ郡およびムポングウェ郡の質の良い妊産婦・新生児保健サービス利用へのアクセスの増加により、妊産婦と新生児の健康が改善されることを基本目標にしています。
プロジェクトでは、保健センター(医療サービス提供施設・助産師や看護師が常駐)に併設する次の4施設、①出産待機のための「マタニティハウス」、②安全で衛生的な施設分娩施設(マタニティウォード)、③助産師の宿泊施設(24時間態勢で医療サービスが可能となる)および④ユース(若者)センター(若者へのSRH/Rの情報とサービスを提供するとともに若者の集まれる場所となる)を建設し、「ワンストップサービスサイト」(地域の健康づくりのための、包括的な妊産婦・新生児保健やSRH/Rの情報やサービスの提供を行う拠点)づくりを目指しています。
2016年には、ムポングウェ郡カルウェオ地区にその4複合施設の10月完成・開所を目指して準備を進めています。今回の会議では、住民のニーズに合わせた建物群の配置や設計内容、外壁のメッセージペイント等についてのワークショップもあわせて実施しました。

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搬送・アクセスの遅れの改善へ貢献する

州保健局長の報告によると、昨年2015年9月3日に開所したマサイティ郡ムタバ地区のマタニティハウスは開所のその日から即日稼働しており、たとえば40キロ離れた自宅から入所し、出産待機する妊婦もいて早速地域が運営する地域の妊婦のための妊婦にやさしい施設として搬送やアクセスの改善に貢献しているということです。
妊産婦死亡率や新生児・乳児死亡率を下げるには、さまざまな角度からのアプローチが必要ですが、特に「3つの遅れ」(決断の遅れ、搬送・アクセスの遅れ、医療ケアの遅れ)を一つひとつ解決していくしかないと言われています。その観点からこのプロジェクトが提供する4施設は、その挑戦において重要な拠点となると考えます。
助産師が24時間常駐できる、保健センターに併設の4施設がワンストップサービスサイトを形成し、地域の母親や赤ちゃんの命を救う拠点となると同時に、若者もSSRH/Rの情報やサービスを受けることのできる拠点として期待されています。

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ザンビアの抱えるさまざまな課題

ザンビアの住民の生活の実情は、依然として厳しいものがあります。それは、国全体の経済状況に端を発する課題ですが、地方道路や地方への電力供給等の経済インフラ、医療・保健や教育等の社会インフラが依然として多くの課題を抱えています。特に2015年からは水不足に端を発した電力不足が2016年に入ってもさらに深刻化し、現在では1日12時間程度の計画停電により住民生活に負担と悪影響を与えています。同時に中国経済の影響や銅価格の下落等により、この1年間にクワチャの価値が半減するほどの極端な落ち込みを示しています。それによる物価の高騰が庶民の生活にさらなる打撃を与えています。とりわけ農村部への影響は大きく、貧困率もさらに改善できないほどの状態となってきていて、若者の失業率は地域によっては半数を優に超えています。
医療保健サービス面では、プロジェクト地区のコッパーベルト州マサイティ郡とムポングウェ郡においても、母子保健およびリプロダクティブヘルスを含む保健サービスが人的物的不足から住民のニーズを満たしていません。
また、さらなる課題のひとつは、妊娠・出産時の緊急搬送先としてのレファラル病院までの距離が遠いことです。緊急事態でも保健施設まで、妊産婦の搬送が間に合わなかったり搬送できなかったケースが多数報告されています。
あわせて、医療保健人材不足は目に余るほどです。医師の数もさることながら、訓練を受けた助産師が足りず、保健センターに配置される計画はあるものの医療従事者の不足、特に農村地域における助産師の確保が難しい状態が続いています。
加えて、出産に必要な基礎的な医療機材や医薬品の不足、保健医療従事者の知識や技術の不足も課題として挙げられます。また、多忙ゆえに保健医療従事者の妊産婦への対応が親切でなかったり配慮に欠けていたりすることから、保健施設でのサービスの質の低下なども課題として報告されています。

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「進化する」プロジェクトとして期待する:「ブッシュ(灌木地域)が街になった」

本プロジェクトは、上記のような現状を踏まえてみますと、非常にユニークなアプローチをとっていると言えます。2015年に完成したマサイティ郡ムタバ地区のワンストップサービスサイトは、地域住民から、「ブッシュ(灌木地域)が街になった」と称されるほどの大きな変化を生みました。「ムタバ地区のワンストップサービスサイトは、グーグルアース(Google Earth)でもサバンナに生まれたオアシスのように見えるのではないか」という笑い話があります。
本プロジェクトは、村人に支えられた地域の参加と保健省のバックアップによって自立発展型の保健サービスの拠点として、また「進化する」保健情報とサービスを提供する拠点として注目されていくことは間違いないでしょう。2016年は3年計画の2年目ですが、その端緒が見えてきたと思います。

自分たちの命と健康は自分たちの力で守るというスピリット

そこに、住民参加によるこの活動を維持するためのファンドレージングや収入創出活動(IGP)と施設メンテナンスのための役割分担や参加によって、さらに自立発展性は強化されていくことになるでしょう。自分たちの村の母親や赤ちゃんの命を守り、村人の健康は自分たちの力で守るというスピリットがさらに強化されてきています。
また、その意気込みに感化された、多くの日本の企業や団体・個人(Private Partner)によっても支援協力を受けており、付属施設や物品の寄贈(給水タンク、ソーラーバッテリ、ボランティアのTシャツ、赤ちゃんの肌着、子供靴、またボランティアの活動の足となる自転車や自転車による人力発電機など)多くの支援を受けて支えられてもいます。東京から直線ではるか1万3000キロ以上離れた、アフリカ・ザンビアの農村地域で、日本の人々からの支援協力の輪が着実に広がっています。
今後も、村人一人ひとりの参加によって、日々「進化する」プロジェクトの様子を、随時報告していきたいと思います。
引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

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