ピア・エデュケータートレーニング 報告

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2016.3.22

ザンビア妊産婦・新生児保健ワンストップサービスの、3年次のプロジェクトサイトで実施した研修について報告します。2月11日から20日の10日間に行った研修で、ムポングウェ郡ミカタ地区の10代~20代の若者に対して、公益財団法人テルモ生命科学芸術財団の助成によりピア・エデュケーター20名を育成しました。

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初日は皆、緊張した面持ちでしたが、研修が進むにつれて参加者同士の交流も深まり、次第に笑顔が増えて、議論も活発になっていきました。今回の研修の特徴は、講師による一方的な講義ではなく参加者が積極的に発言し進めていく点です。ワークショップやロールプレイなどを通して彼ら自身で考え、発言する機会を多く取り入れることでより集中して研修に参加してもらうことができました。一方的に教わった知識よりも自分自身の頭で考え発言してもらうことを大切にしたいという想いからこのような形式をとりました。思春期の身体の構造や性感染症の防ぎ方などの知識から、ファシリテーションの方法や効果的な健康教育の行い方という技術的なことまで、講義の内容は多岐にわたりました。

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参加者の一人、24歳の女性アマンダさんはピア・エデュケーターになりたくてこの研修に参加したと言います。彼女の住んでいる村は性や妊娠の知識が不足しているので、自分と同じ世代の若者に情報を広めたいと意気込み、学校や教会、ユースセンターなどで啓発活動をしていきたい、と今後の活動について語ってくれました。彼女は大学では秘書になるための勉強をしていましたが、将来の夢は看護師になることで、お金を貯めたら看護学校に入り直したいそうです。村では女性は若くして結婚・出産する人が多いのですが、彼女は29歳頃に結婚し、子どもは4人欲しいと教えてくれました。

26歳の男性テンボさんは、ただ人を助けたい、その純粋な思いがモチベーションになってこの研修に参加したと教えてくれました。12、13歳という幼い年頃の女の子が妊娠している自分の村の現状をみて、もっと妊娠出産に関する知識を広めていきたいと思ったそうです。彼の村にはピア・エデュケーターはおらず、彼自身も今まで性教育を受けたこともないと言います。自分がリーダーシップをとり、若い人を中心に情報を共有したいと語ってくれました。彼は高校まで卒業しましたが、大学には行っていません。お金を貯めて進学し、ビジネスについて学びたいと将来の夢を語ってくれました。

研修終了後は、参加者全員におそろいのTシャツと活動に使用するための自転車を配付しました。これらは企業や自治体の皆さまからの寄贈していただいたものです。ユニフォームを着た彼らの表情は、とても頼もしく自信に満ちていました。今回の研修を通して得た知識や技術を自分の地域へ還元し、少しでも多くの人に届くことを期待します。

(2016年3月、報告・出浦綾夏)

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