セブンシスターズ:ムコルウェ地区で出会った7人の妊婦さん

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2017.2.23

ザンビアのコッパーベルト州マサイティ郡ムコルウェ地区(人口約6000人)は、2013年にマタニティハウス(出産待機ハウス)を開設したプロジェクト地区のひとつです。

この日、私たちジョイセフの3人の到着を待ってくれていた母子保健推進員(SMAG)のみなさんが、保健センターの前で歓迎の歌をゴスペル調で歌ってくれました。私たち一人ひとりの名前を交えた即興の歌が、心を打つのみならず、村の青空にひろがり、アフリカの大地の太陽の強い日差しも忘れてしまうくらい清々しい朝となりました。

7人の妊婦さんと寄り添うSMAGの皆さん

7人の妊婦さんへのインタビュー

ちょうどこの日にマタニティハウスに入所していた7人の妊婦さんと面談する機会を得ました。ハウスは8人収容施設ですから、ほぼ満室。楽しくワイワイと共同生活を送りながら出産を待つ姿はまるで姉妹のようで、実に心温まるものがありました。

20歳~35歳の妊婦さんの内、5回目の出産を控えている妊婦さんが4人(35歳、32歳、28歳、26歳)、2回目が1人(22歳)、はじめての出産の妊婦さんが2人(20歳と23歳)でした。このハウスは母子保健推進員(SMAG)から情報を得ていることと、遠距離の妊婦さんは歩いて2時間の場所から早めに入所していると分かりました。7人の中で、今まで流産や死産を経験したことのある妊婦さんがいなかったことは安堵しました。初めの頃の出産は自宅分娩で、ハウスができてからは、施設分娩に代わってきた経緯がよくわかりました。ハウスが着実に安全な分娩に向けて重要な役割を果たしていることを改めて確認できました。5人目の妊婦さんたちは、みなさん出産後は家族計画を実施するつもりであると言うことを表明。「これ以上の育児は大変です」と、笑って話してくれました。7人の妊婦さんが出産というタイミングに一堂に会し、まるで「セブンシスターズ(7人の姉妹)」のように見えてしまいました。

歌を歌って歓迎してくれた母子保健推進員(SMAG)の皆さん、歌声が村中に響き渡りました

現在ムコルウェ地区には、助産師が1名、看護師が2名勤務しており、6000人の住民の保健施設として対応しています。しかし保健要員の住環境がよくなく、近接に住むことができないスタッフには、夜の応急が難しいとの話もありました。近接した住居が必要であるとの要望も出ていました。自然分娩への対応のためにも、24時間体制を考慮して、助産師をはじめとした保健スタッフができる限り保健センターに「職住近接」であることのメリットは大きいと改めて実感しました。

SMAGの歌に送られてムコルウェ地区での清々しい朝の時間を過ごし、セブンシスターズの無事の出産を祈りながら、マタニティハウスを後にしました。

(ジョイセフ常務理事 鈴木良一、2017年2月、東京にて)