コミュニティのちから ~地域でコミュニティの健康を守る動き~

  • レポート
  • ザンビア

2017.3.10

ザンビアの「妊産婦・新生児保健ワンストップサービスプロジェクト」は、2016年12月に第3年次を開始しました。昨年11月に開催した「持続性のためのコミュニティ連携強化ワークショップ」では、プロジェクト対象10地区での継続した活動や施設運営管理のためのコミュニティ活動計画を立て、活動進捗状況の共有を行いました。コミュニティ主体による保健推進活動の好事例を紹介します。

① ヤギによる収入創出活動 in マサイティ郡ムタバ地区

2015年9月にワンストップサービスセンターが設立されたマサイティ郡ムタバ地区では、コミュニティの世帯寄付によりヤギによる収入創出活動を開始しました。最初に10頭を購入し、すでに赤ちゃんヤギが2頭生まれています。また、マタニティハウスの隣で落花生畑を耕し、今後は大豆なども育てることにしています。農産物を村のマーケットで販売したり、マタニティハウスに宿泊する妊産婦のための栄養クッキングデモとしても活用する予定です。さらに、郡保健局からザンビアの主食であるメイズ(とうもろこし)を脱穀する農業機具が寄贈され、早速コミュニティによって安全に農業機具を保管するための小屋が建設されました。今年は、メイズの販売も行いたい、とプロジェクト地区運営委員会のメンバーが意気込んでいました。

  • 母子保健推進員(SMAG)リーダーのカポトゥエさん。義母が出産で亡くなった経験からSMAGメンバーになり、活発に活動しています
  • 昨年末に植えた落花生が雨季に育ちました

② コミュニティ主体で生まれ変わったマタニティハウスin マサイティ郡カンボワ地区

マサイティ郡カンボワ地区保健センターでは、近くの古い施設をコミュニティ自身がちからを合わせて、妊産婦が宿泊できるマタニティハウスにリフォームしました。昨年11月に開所して以来、合計7名(11月~1月末まで)の妊婦が宿泊し、隣接するコンゴ共和国からも出産のためにアクセスしていると聞いて嬉しく思いました。

マタニティハウスのペインティングワークショップに参加するSMAGメンバー

マタニティハウス開所式(2016年11月)

SMAGメンバーによる劇 妊娠シミュレーターを活用して

このようなコミュニティ主体による保健推進活動が好事例となり、他の地域のモデルとなってきました。また、各地区のコミュニティ活動計画のフォローアップとして2017年2月11日、ワンストップサービスサイトで中小規模ビジネス専門家であるシニア海外ボランティアを招き、「収入創出活動ワークショップ」を開催しました。生計にかかわる収入創出に関する知識について学ぶ貴重な機会となり、参加したコミュニティのプロジェクト地区運営委員会メンバーはみな真剣に耳を傾けていました。今後、実際にどのように進められるか、熱い協議が行われました。今回のワークショップを機にアイディアが生まれ、今後の発展につながることを期待しています。

収入創出活動ワークショップの講師として竹内シニア海外ボランティアの協力をいただきました