住民の夢を叶えるマタニティハウス
マサイティ郡カフラフタ地区の試み

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2017.8.2

ザンビアで「妊産婦・新生児保健ワンストップサービスプロジェクト*」を開始し、早くも2年半が経ちます。

各プロジェクトサイト(10地区)では、プロジェクト開始時に地区保健運営委員会を設立しました。地区保健運営委員会は、村のリーダー、教会、教師、若者ピア・エデュケーター、母子保健推進員(SMAG)などの代表者各10名で構成されています。

SMAGやピア・エデュケーターが各村での保健啓発活動をよりよく展開できるよう、そして村の母子保健問題解決に向けた大切な役割を運営委員会メンバーは担っています。設立から3年目を迎え、彼らの活動が少しずつですが着実にさまざまな形で実を結んでいます。

マサイティ郡カフラフタ地区では、マタニティハウス(出産待機ハウス)の建設に向け、地区保健運営委員会のメンバーとSMAGが力を合わせ建設作業を開始しました。

近くの学校で教師をしているモーリさんは、カフラフタ地区の運営委員会のメンバーの一人です。

「私が運営委員会のメンバーになり、多くの住民からクリニックまでの距離が遠いために、多くの妊産婦が自宅で分娩をせざるを得ない状況であることを聞きました。
私たち運営委員会はどうにかしてこの問題を解決したいと思い、マタニティハウスの建設を計画しました。しかし、マタニティハウスの建設にはお金が必要です。
どうしたらよいか私たちには解決方法が見つからず、村のリーダーに相談しました。
リーダーからは、住民から3クワチャ(約30円)の寄付を募ったらどうかとのアドバイスがあり、各村で寄付を募りました。ようやくある程度のお金ができ、建築に必要なレンガとオイルを賄えるようになりました。
私たち運営委員会メンバーやSMAGは、日ごろは仕事があるため毎日建築作業に携わることはできません。そこで、毎週水曜日に集合し、男性は建築作業を、女性はご飯やお茶の支度を担当しながら作業を行っています。
なかなか3クワチャが集まらないことが課題の一つでもありますが、住民の方々の理解と支援を得ながら、2018年の4月には完成させたいと思っています。
私たち運営委員会がリーダーシップをとることで、SMAGや若者の活動が促進できるのです。」
と話してくれました。

プロジェクトが開始された1年目は、マタニティハウスの建設計画とクリニック近くの土地の確保、寄付集め、2年目にようやくレンガを集めることができ、そして3年目の現在、建設を開始。建築現場では、SMAGや住民の楽しそうな笑い声が響き渡り、少しずつですが、着実にここカフラフタ地区でもまた住民の力によるマタニティハウスの建設がスタートしています。

*「妊産婦・新生児保健ワンストップサービスプロジェクト」:外務省日本NGO連携無償資金協力の委託事業としてザンビア共和国で2014年12月から実施している事業